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「櫻井も、たまには体動かせよ。もしもの時は援護頼むことになるだろうし」
「……それは、分かりました」
不承不承頷いた櫻井。
「元々お前も実力がある戦闘員だったんだから大丈夫だ。どうにかなる」
バン、と櫻井の背中を叩く。
「だから、鶴岡さん力強いんですけど」
「え？ 大丈夫だよ」
「いや、痛いですって」
軽く言い合いをして笑う。
そういえば、と思い出して今度は櫻井の方から聞いた。
「次の現場、決まってるんですか」
思い出すような表情になった鶴岡。
「雹隊としては一週間後にある。ただ、十五班からは誰も出ないことになっていたな」
「こんな状況ですからね。現場、どこですか？」
場所を聞くと、本部からはかなり離れた場所だった。
「ヘリですか？」
「そうなるだろうな。車だと時間がかかるし運搬も間に合わない」
「てことは、航空部隊が？」
「いや、まだ細かいことは決まってないんだよ。今回の後処理が間に合ってない」
十五班がまだ報告書を出してないし、二宮からの報告もまだらしいからな、と櫻井を見る。
「立て込んでるもので」
「まあ、これで何となく察したよ」
まだ聞こえる二宮の声。
報告書どころではない。
「誰が年上で誰が先輩だよ、って感じだよな。十五班は」
「上があまりしっかりしてないですからね」
「班長があいつだもんな。なんとなく分かるよ」
はは、と苦笑した櫻井。
班長があの緩さだからこそ、成り立っているところもあるが。
「おい、鶴岡。何やってんだ帰るぞ」
「あ、はい」
別の病室から出てきた男に返事をした鶴岡。
「吉村さんですか」
「そう、うちの班長。ごめんな、また会った時に」
「はい」
不機嫌そうな吉村に駆け寄る鶴岡。
ぺこり、と吉村に頭を下げている。
一班は上下関係がはっきりしている。
班長の言うことは絶対、らしい。
「何で櫻井なんかと話してたんだ」
「久しぶりに見かけたもので」
「十五班のやつとあまり関わるな。ろくでもない」
「……はい」
思い切り聞こえている。
文字通り目を細めた櫻井。
「俺らのこと、嫌ってんなあ」
親が憎ければ子まで憎い、なのか。
吉村は班長の大野だけでなく、班員である四人のこともよく思っていないらしい。
別に吉村だけでなく、他の班の班長も似たようなものだ。
「面倒な話だよなあ」
ため息をついて、病室に戻ろうとする。
まだ聞こえている二宮の声に、どうやって二宮を止めようか少し考えながら。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
