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「ほんっと、あんたたちは……」
大きなため息をついた二宮。
朝、病院から呼び出されたから何事かと思ったら。
「ニノ、一回大きく深呼吸ね」
隣の櫻井に言われ、深呼吸をした。
「このバカ！」
ドアを閉めていても廊下まで聞こえる二宮の怒鳴り声。
体を縮めて並んで座っているのは三人だ。
「まず最初に言うけど、院内禁煙って分かってんでしょうが何で吸うんだよ」
「すんません」
「俺でもさすがに病室では吸わないってのに」
「ごめんなさい」
「入院してる数日間ぐらいは我慢しろよ、それか外に出て吸えっての」
「おっしゃる通りです」
ひたすら謝っている三人を見て苦笑する櫻井。
怒られると分かっていて、なぜやるのか。
怒った二宮はかなり怖い。
「誰が吸った？」
「……三人全員です」
「はあ？」
ぎろっと相葉を睨んだ二宮。
「あんた煙草やめたんじゃなかったの」
「いや……はい、その通りです」
「意味ねえじゃん」
「起きたら煙草のにおいしたから、それでつい」
「ってことは？ 最初に吸ったのは誰よ」
「俺」
「潤くん、あなたねえ」
これは長くなりそうだ。
肩をすくめた櫻井は、黙って部屋を出る。
ドアを閉めるが、これは閉めていなくても丸聞こえだ。
思わず苦笑したところ。
「何？ 二宮の雷でも落ちた？」
「あ、鶴岡さん」
鶴岡、雹隊の一班所属だ。
「さん、は要らねえ」
「でも先輩ですから」
「関係ないって」
漏れ聞こえてくる二宮の声を聞いて、苦笑した鶴岡。
「また大野が何かやったのか？」
「いや、大野というか……相葉と松本もです」
「あー、それでこんなに」
お前も大変だな、と背中を叩かれて、また櫻井は苦笑した。
鶴岡と大野は同期、櫻井から見たら先輩だ。
鶴岡と大野が仲が良いからか、鶴岡が所属する一班と十五班は何かと交流がある。
ただ、一班の班長である吉村と大野は驚くほど仲が悪いため、表立っての交流というわけではない。
あくまで、班員同士の個人的な交流だ。
「鶴岡さんは何でここに？」
「嵯峨野がこの間の現場で怪我してな。見舞いだよ」
「あ、そうだったんですか」
「相葉も怪我したんだろ？ 気抜くとやられる現場だったよな」
言われて思い返す。
確かに、櫻井も自分で数人撃退することになったような。
「あんなのが何回も続いたらお手上げだ。こっちもやってられない」
肩をすくめた鶴岡。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
