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「本当に、何の用で来たの？」
「え？」
ただひたすら煙草を吸っている大野。
「別の用事、あったんじゃないの？」
「いや……うん、まあ」
やっと火を消した大野が、松本のベッドに向かう。
並んで座って、小さく笑った。
「気にしないで」
それだけ言って、大野は答えない。
ただ、ぼんやりと寝ている相葉を眺めているだけ。
松本は苦笑して、ベッドの横の棚から紙を出した。
「これ、報告書。打ち直して出してもらえたら」
「あぁ……分かった。ありがと」
松本の字と、相葉の字。
二人分の報告書らしい。
「俺、てっきりその報告書の話かと思ってたんだけど。何も言わないからさ」
「いや、報告書もそうだったんだけどね」
単純に松潤に会いたくなったから、と呟いている。
「何だそれ」
「分かんない。翔くんと話してたら、なんか松潤に会いたくなった」
「どういうことだよ」
「だから分かんないんだって」
松本は目を細める。
「なんか他に嫌なことでもあった？」
「……まあ、あったけど」
「そっか」
深くは聞かずに、うーんと伸びをする松本。
「俺はそろそろ寝るけど。大野さんはどうするの」
「ん？」
「まさかここで寝るわけないよね？」
「え？ いいじゃん入れてよ」
「嘘だろ？」
けらけら笑う大野。
本当に松本のベッドに潜り込もうとするから、松本は慌てて止める。
「あんたどう言い訳するつもりなの」
「仲が良いから〜って」
「いやさすがに無理ある」
「えー、平気でしょ。いいじゃん」
「良くねえよ、怒られる」
「俺も怪我人だからさ」
「じゃあ普通に入院しろ」
「それは嫌だ」
揉めていると、さすがにうるさかったのか相葉の寝息が止まった。
思わず、そのまま固まる二人。
「ん……あれ？ 大ちゃん？」
目を擦って上半身を起こした相葉。
「あっちゃー、起こしちゃった。ごめん相葉ちゃん」
「あんたが騒ぐからだぞ」
「松潤が入れてくれないからじゃん」
「部屋帰れよ」
「何でよケチ」
「……え？ これどういう状況？」
寝起きで頭が回らないのもあって、相葉の頭の上にハテナがたくさん見える。
「ねえ、煙草のにおいするんだけど。吸った？」
「あ、はい」
「えー、ここ禁煙でしょ？ 怒られるよ」
「はい、すみません」
二人揃って縮こまる。
相葉の言っていることは正論だ。
はあ、とため息をついた相葉。
「俺にも一本ちょうだい」
「嘘だろ？」
目を丸くした松本。
笑い出した大野。
やはり似た者同士らしい。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
