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窓を開けて煙草を吸っていた松本。
病室のドアが開いた音に振り返った。
大野は松本を見て眉をひそめる。
「院内禁煙なんだけど」
「あれ、大野さん。何でいるの」
「何でいるの、じゃない。火消す」
苦笑して、煙草の火を消した松本。
携帯灰皿に吸い殻を入れて、ポケットにしまった。
「煙草の匂いって思ってるより染み付くからね？ 分かってる？」
「分かってるよ。吸わない人は気になるんだってね」
「そりゃそうでしょ。病院で煙草吸うとか本当論外。やめてよね」
「はいはい」
松本は自分のベッドに戻り、座った。
呆れた顔の大野はドアを閉めて、近くにあった椅子に座る。
「松潤、起きてたんだね」
「それは大野さんに言いたいね。こんな時間に何で来たの」
そりゃそうだ。
肩をすくめた大野。
「色々あってさ」
「そう」
しばらくの沈黙。
相葉の寝息だけが聞こえる。
「松潤」
「何？」
「煙草くれない？」
「さっき火消せって言ったの誰だよ」
「それ、撤回するわ」
はあ、とため息をついて煙草の箱を差し出した松本。
「あんがと」
一本受け取ると、大野は口にくわえて自分のライターで火をつけた。
「窓際で吸いなよ」
「そうだね」
立ち上がって窓の近くに寄り、ふーと息を吐く。
「なに、自分のは？」
「ちょうど切れててさ」
「俺にせびるなよ」
「後で返すから」
ぼんやり外を眺める大野。
「相葉くんは寝てるけど」
「別にいいよ。普通この時間なんて寝てるものだし」
「じゃあ何で来たの。まさか煙草吸いにわざわざ来たわけじゃないでしょ」
「そりゃあね」
大野と松本の関係は、少し不思議だ。
「十八班、解散するんだって」
「あ、そうなの？ 確かに菊池は死んだって聞いたけど」
「野村、部隊やめるんだって」
ぽつり、とこぼした言葉。
「……そっか」
松本も野村のことは知っている。
白い煙を吐く大野を見て、悲しいんだろうな、と思った。
大野はあまり煙草を吸わない。
大野が煙草を吸うときは、決まって気分が落ち込んでいるときだ。
「松潤」
「ん？」
「菊池、現場で見た？」
「見たよ。十八班のやつ引き連れて、地下に行ったのを見た」
地下ねえ、と小さく呟いた大野。
「何であいつは地下に」
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
