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「『現場に出るたび相葉はしばらく使い物にならないし、櫻井だって非戦闘員の仕事に慣れてない。松本は無鉄砲でよく負傷するし、二宮は情報関連以外の仕事はほぼ受け付けない。大野は単独行動がすぎる』だってよ」
「……事実なのが言い返せないね」
「でしょ？ そう言われても何も言えないのがさ」
十五班、そういう風に見えてるみたいだよ、と呟いている。
「あと、『負傷することに恐怖心を抱きすぎ』だってよ。松潤に向けたものではないだろうけどさ」
顔をしかめた櫻井。
「それは勝手でしょ」
「そう思うんだけどね」
まさか隊長の前で喧嘩するわけにもいかないでしょ、とまたため息をつく。
「『負傷することにトラウマを持つ者が雹隊にいるべきじゃない、雹隊は向いていないから移籍させるべきだ』って行くたびに言われる。俺が勝手に撤退命令を班に出しちゃうのも、気に食わないみたいだね。負傷することを恐れるくせに、今みたいに入院して戦線離脱することが多すぎるって」
「……だからあなた入院しないの？」
ちら、と目を上げた大野。
「班長が入院したら、それこそ翔くんたちまで叩かれるよ」
櫻井は何も言えない。
起き上がった大野が、ふわあと欠伸する。
「戦闘員の圧すごいからね。翔くんは分かるでしょ？」
「まあ、俺も戦闘員だったし。会議も出たことあるし」
「怖いよね。俺何回行っても慣れない。戦闘員が向いてないんだな」
これ、飲んでいい？ と置いてあるカフェオレを指差す。
「ニノが買ってきたやつだけど」
「じゃあいいか。貰っちゃお」
後で謝ればいいかなあ、と片手で器用に蓋をあける。
「じゃあいいか、の基準が分かんねえな」
「松潤のじゃなきゃ謝れば済むもん。松潤のだったらめんどくせえ」
「めんどくせえって言わない。あんまり人の勝手に取らないんだよ」
「だって置いてあるから」
そりゃそうだけど、と櫻井が口ごもる。
小さく笑って、大野はカフェオレを飲む。
「翔くん真面目だもんなあ。変わんねえ」
「変わんねえ、って」
「安心するよ、俺。翔くんが変わらないの見ると」
じっと櫻井を見る。
「申し訳ないことしたからさ」
「……あぁ、事故のこと？ 気にしてないよ、俺も悪かったんだし」
「翔くんがそう言うたびに申し訳なくなるの。俺の不注意でもあったから。それに、よく言われるから」
誰に言われたのか、なんて聞かなくても分かる。
班長たちに言われたのだろう。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
