25. ページ25
「あれ？ 大野くんは？」
部屋を見回してみるものの、大野の姿がない。
「ちょっと前に出て行きましたよ。気づいてなかったの？」
「え、マジで？ 気づいてないわ」
「マジか」
苦笑した二宮。
よほど集中していたらしい。
「なんなら俺もこれ買いに出てるからね」
「あ、そっか。ここまで気づかないって怖いね」
「本当だよ」
ふわあ、と欠伸をした二宮。
時刻は午前二時。
「ニノ、寝たら？ 現場に出る前もほとんど寝てないでしょ」
「んー、まあ。さすがに二時間睡眠で現場出るのはきつかったかな」
パソコンずっと見てるから目痛くなるし、と目を擦る。
「寝れる時に寝なよ。俺起きてるから」
「じゃあお言葉に甘えて寝ようかな」
ソファに寝転がり毛布にくるまった二宮。
「いや、布団で寝ればいいのに」
「それだとガチ寝するじゃん。起きるの何時間後になるか分かんなくて怖いし」
「いや何時間でもいいから寝てよ」
「いいんだよ俺はソファで」
もぞもぞとソファの上で動いて、居心地のいい場所を見つけたらしい。
「もしかしたら十二班のやつが来るかもしれない。俺が追加で情報収集頼んだやつだから、来たら受け取ってくれる？」
「分かった。おやすみ」
「おやすみ」
すぐに聞こえてきた寝息。
やはり疲れていたらしい。
二宮を眺めて、再びパソコンへ向かう。
二宮には見せなかった別のページ。
「これ……厄介だなあ」
読み解いた自分の文章と数字列をもう一度比べる。
既に、いくつかの文章は読み終わっていた。
その中にはもちろん、アタリもあった。
「スピリット、やっぱり単純な話じゃないよなあ……あれだけのことやるのに、一人なわけないんだよ」
相葉が殺したあの男。
あの男も「スピリット」で間違いはなかった。
「なに？ やっぱりスピリットは複数いるの？」
突然聞こえてきた言葉に、思わず体が跳ねる。
慌てて振り返ると、苦笑する大野の姿があった。
「いつ帰ってきたの？」
「いつって、さっきだよ。なんか翔くんぶつぶつ呟いて気づいてなかったみたいだけど」
「まじかよ」
これはダメだなあ……と櫻井はため息をつく。
「こんなに気配を読めないんなら、戦闘員に戻れないよね」
「翔くんは戻らなくていいの。翔くんが言ってた文章見せてよ」
櫻井の手元を覗き込もうとする大野。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 443人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
