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「非戦闘員、か」
二宮の言葉を口の中で繰り返した櫻井。
「そうですよ。翔さんにはあまりピンと来ないでしょうけどね。元々戦闘員だった人が非戦闘員になるのと、ずっと非戦闘員ってのとではまた違うんだよ」
分かる？ と櫻井を見た二宮。
「何が違うの？ 非戦闘員ってのに変わりはないし」
「翔さんは非戦闘員ってことになってるけど、実際には戦闘員みたいなものでしょ。戦闘員扱いされなくても、自分の身とパートナーの身を守ることぐらいはできる」
「そうだけど」
「俺なんて、ずっと潤くんに守られっぱなしですよ。非戦闘員は専門職になりがち。だから自分の身の守り方すら知らない人が多い」
ため息をついた二宮。
「俺もそのうちの一人だよ」
カタカタとキーボードを叩いている二宮。
画面上に表示されているのは知らない言語。
どうやら、プログラミング言語らしい。
「非戦闘員はあまり現場に出るものじゃないからね。ニノは信頼されてるし能力もあるってことじゃん」
「そのおかげで何回死にかけたことか。潤くんがいなかったら命何個あっても足りないわ」
上のやつが俺に間諜活動なんてさせたりするからさ、なんてぼやいている。
「非戦闘員なのに戦闘員と同じ扱いだよ。やってらんねえ」
「そう言わないでよ」
「だったら現場に俺を送らないでほしいよね」
タン、とエンターキーを押す。
画面に流れた文章を真剣に読む二宮。
それは櫻井には理解できないものだったため、諦めて相葉の元へ向かう。
「雅紀、大丈夫？」
「大丈夫」
と言うものの、大丈夫でないのは見れば分かる。
「……やっぱり俺が戦闘員になろうか？ 元々戦闘員だったから、俺でも」
「平気。翔ちゃんはそのまま」
相葉はぴくりとも動かない。
「こちら二宮。聞こえますか」
二宮の声がした。
振り返れば、画面を見ながら通信機片手に喋っている。
『はいよ、大野だけど。どうしたの？』
間の抜けた返事が返ってきた。
その声は櫻井にも相葉にも聞こえている。
「……あんた、仕事してました？」
『してるしてる』
どう考えてもしていなかったとしか思えない返事だった。
「まあいいや。大野さん、報告です」
『おー』
やる気のなさそうな大野の声に苦笑する。
この人はいつもそうだ。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
