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深夜の病院の廊下。
自動販売機の前で何を買うか迷っていると、カツン、カツンと音がする。
もしかして、と振り返ると案の定だった。
「相葉くん、何してんの」
「え、あ、松潤」
えーと、と目を泳がせた相葉。
松葉杖をついて歩いているところを見られては言い訳できない。
そんな相葉を見て、黙って近くに置いてあった車椅子を持ってきた松本。
広げて椅子を指差す。
「座れ」
「……はい」
大人しく座った相葉。
がこん、と自動販売機から音がした。
「やる」
「え、ありがとう」
渡されたのはコーンポタージュ。
再びがこん、という音が鳴って、松本は同じものを手に取った。
「寝れないんでしょ？」
「まあ」
「で、俺もいなかったしちょっと出かけようかと」
「そうだね」
「バレたら和から怒られるぞ」
「ですよね」
相葉が座る車椅子を押して部屋に戻る松本。
「ずっと部屋にいるってのもつまんないんだよね」
「分かるけど、治り悪くなるからあんま動き回るなよ」
「分かってるんだけどさあ」
部隊の付属病院。
建物自体は本部と繋がっているため、距離は近いのだが完全に隔離されているため遠く感じる。
度々お世話になるが、本当ならお世話になりたくない場所だ。
「待遇良くしてもらってるんだからさ」
「分かってるけど」
つまんないものはつまんない、と相葉はふてくされている。
「俺もつまんねえよ。大した怪我じゃないのにさ。大野さんの方が入院するべきだってのに」
「本当だよね」
「あんたは入院相当だよ」
「ちぇっ」
部屋のドアを開ける。
カーテンが夜風に舞って、部屋に月の光が差し込んできている。
思わずその場に立ち尽くす松本。
「綺麗だね」
ぽつりと呟く相葉。
病室特有の白い部屋だから、余計に映えるのか。
「そうだな。でも窓閉めとかないとうるさいよ、看護師たちが」
「目つぶっておいてくれないかな」
「どうだろうな」
松本が車椅子から離れて窓を閉めに向かう。
「俺ね、結構月の光って好きなんだよ」
「そうなの？」
窓を閉めながら松本が聞く。
うん、と頷いた相葉。
「へえ、相葉くん太陽の光が似合うけど」
「よく言われる。でもね、月の光が好きなんだ。カーテン開けてくれない？」
言われてカーテンを開けた松本。
さっきよりも部屋に入ってくる月の光。
「なんかさ、儚い感じがするじゃん。ニノみたい」
「和？」
「うん」
言われて、月の光を見直す松本。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
