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「期待してないんだったらあんなにうるさく仕事しろって言わなくたって」
「だらだらしてる人見るとイラっとするでしょ。だからだよ」
「ただの八つ当たりじゃん」
「そうだよ八つ当たりだよ。忙しくてこっちはイライラしてんの」
二宮にしては珍しい言葉に、大野が目を丸くする。
「イライラしてるって自分で言うの珍しいね」
「本当のことだからね」
言わなくても俺がイライラしてんの分かるだろうし、とパソコンを操作しながら言っている。
「まあ、見りゃ分かるよね」
「でしょ？ 少しの八つ当たりぐらい勘弁して」
そう言われたら何も言い返せない。
二宮の仕事が多いのは見ていれば分かる。
それを大野が手伝えるのも知っている。
そりゃ、八つ当たりしたくもなるというものだ。
三浦から貰った中身を見て、小さく呻いた二宮。
「どうしたの」
「いや……あいつはよくまとめてくれてるんだけどさ。だから俺も頼んだんだけどさ」
自分のパソコンと見比べて、腕を組んだ。
「何でこんなに内容に矛盾が出るんだ？」
自分がまとめている情報と、三浦がまとめた情報とがまるで違う。
むしろ真反対の内容だ。
「え、こんな違うことある？」
後ろから覗き込んだ大野も首を傾げる。
「元データを確認するしかないか……このままじゃ報告できないし」
ため息をついて、もう一台パソコンを起動する。
「いつも思うんだけど、ニノが同じパソコンで表示させないのは何で？」
「画面の切り替えするのが面倒臭いから。表示させておいて自分が動いて見比べた方が早いし」
「ふーん」
パソコンを何台も起動するのは面倒じゃないのか、という突っ込みはしないでおこう。
「三浦に雹隊の十五班以外のデータを全部渡して分析と解析するのを頼んだのよ。元データも確認しないまま渡したから内容知らなくて」
「丸投げか」
「そう。俺も現場で直接情報抜いてたらとんでもない量抜き取れちゃったから、そっちに追われて時間取れなかったし」
その場で解析できそうなのは終わらせて先に本部に送ったんだけどね、なんて言っている。
それは現場での通信でも言っていた。
「雹隊の情報担当の中だと三浦が仕事できるからさ。結構信頼してるんだけど」
でもやっぱり確認は必要か、なんてぼやいている。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
