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「それ。大野さん頼みましたよ」
「わーかったってやりゃいいんでしょ」
しぶしぶパソコンの前に座る大野。
「やること分かってますよね？」
「情報分類すりゃいいんでしょ？」
「そう。矛盾してるのあったら何班のやつが持ってきたやつなのか教えて」
「はいはい」
班員が班長を使うのだから、普通と逆転しているのだ。
そのぐらいで怒るような班長ではないのも、この班が上手くいく理由。
しばらく三人とも黙って仕事をしていると、部屋のチャイムが鳴った。
ため息をついて立ち上がる二宮。
「何の用だよ、まったく」
ここは本部にある十五班に割り当てられた部屋。
本部では班ごとに部屋が割り当てられており、用事があるときは班の部屋に出向くことが普通だ。
仕事も日常生活も、十五班の場合はこの部屋で完結している。
ちなみに、本来なら雹隊は個人ごとに部屋が割り当てられるはずなのだが、それを断って十五班は五人で生活している。
そこも他の班とは違うところだ。
「はい、十五班の二宮」
『十班の三浦。頼まれたやつ』
「あー、三浦？ ちょっと待ってて」
二宮がドア横にある機械に番号を打ち込み、部屋のドアを開ける。
「これ」
「はいよ、確かに」
渡されたのは二本のUSBメモリ。
「そっちが元データ。こっちが解析したデータ。他のと合わせて」
「了解。さんきゅ」
それじゃ、と帰っていった三浦。
「誰？」
「十班の三浦。情報解析頼んでたの忘れてた」
「あー、十班の情報担当の」
「そう」
今まで二宮が使っていたパソコンとはまた別のパソコンを起動する。
この部屋にはパソコンが七台ある。
「ニノ」
「なに？」
「俺飽きた」
「早いんだよ飽きるのが」
だって、と口を尖らせている大野。
櫻井は黙々と画面を見ながら紙に何か書いている。
対照的だ。
「終わったの？」
「終わってない。けど六割はやった」
「へー、大野さんにしちゃ上出来じゃない」
「どういう意味だよ」
「元々そんな期待してなかったんだけど」
「ひでえな」
大野の顔も見ずに返す二宮。
貰ったUSBメモリを差して読み込む。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
