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「はい、スピリット確認。お疲れ様でした」
倒れている男の顔を覗き込んで、端末に打ち込む。
肩から下げたカバンの中に端末をしまって、ほっとため息をついた。
「ニノもお疲れ様」
櫻井の言葉に肩をすくめた二宮。
胸に刺さっているナイフを見て、相葉の元へ歩いていく。
「相葉さん」
「……ニノ」
部屋の隅で丸まっている相葉。
顔をうずめて、二宮を見ようとしない。
「あのナイフ、抜かなくていいんですか」
返事はない。
一つため息をついて、二宮はまた男の元へ歩いていく。
ナイフに手をかけた二宮を見て、慌てて櫻井が止めた。
「何してんの」
「抜こうかと思って」
それとも何、翔さんが抜く？ と櫻井を見上げた二宮。
「いや、それは」
「でしょ」
力を込めて、ナイフを引っこ抜いた二宮。
既に心臓は止まっているため、血しぶきが上がることもない。
ナイフにこびりついた血を、男の服で拭き取ってから刃をしまう。
「これ、大事にしなさいよ」
相葉の元へ床を滑らせてナイフを投げる。
相葉の身体に当たってナイフは止まったものの、相葉はぴくりとも動かない。
そんな相葉を見て苦笑した二宮。
「そういえば、松本は？」
「負傷してたので先に帰しました。多分軽い打撲です。大丈夫って言ってたけど、大事をとって」
「そっか」
雅紀も戻る？ と櫻井が聞くと、頭を振った。
「残ってるの、後片づけだけですよ。相葉さんは戻ってても」
「いい。翔ちゃんとニノといる」
返事を聞いて、二人揃って苦笑した。
「相葉さん、怪我はしてないんですよね」
「俺が見てた限りでは大丈夫だと思うけど」
「そうですか」
部屋を見回して、近くにあったパソコンに目をつけた二宮。
電源ボタンを押して、何やら操作している。
「何してんの？」
「何か情報が残ってないか、と思って。翔さんは相葉さんについててあげて」
櫻井の顔を見もせずに、画面に集中している。
「ニノはすごいよね。ちゃんと仕事をしてる」
二宮の動きが止まった。
「……非戦闘員にできることなんて、このぐらいですよ」
再び操作を始めた二宮。
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2018年12月9日 2時
