WITHOUT YOU (ページ6)

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不用心ページ6

・

完敗なのかもしれない。

俺にも
こんな頃があった。

今だって
最前線でやってる。

・

隣りでノッてるヨンベと
タッピョンに目線をやって

・

カムバック・・

しないとな。

俺たちも。

ここにいるメンバーと。

ほんとにこのメンバーで
良かった。

なんて
染み染みしちゃって
どんだけ酔いが回ってんだ

・

続いてるパフォーマンスに
拍手を送り

フロアを出た。

・

急に一人になりたくて。

なんなら
外の空気でも吸いたい。

・

長い通路の先にある
明かりの灯った部屋へ向かった。

誰かいんのかな。。

何気なく覗いた部屋。

・

「あ・・・」

半開きになったドアを
覗くと
そこには
さっきの子が
座っていた。

・

「え・・・っと

大丈夫でしたか？」

覗いて目まで合った。

で、
後戻りもできずに
声をかけた。

「迷惑かけてすいませんでした。
絆創膏までもらっちゃって。」

そう言って
手を俺に見せて

あ～、やっぱし怪我したんだって

申し訳ない気持ちで。

それに

左の肩が
多分ユニが持ってたビールで
濡れてて。

「服、汚れちゃったんですね・・」

「いえ、大丈夫です。これくらい。」

・

俺が汚れたカーディガンに指を
差したら
笑ってそう答えて。

「あ、笑った・・・」

・

「・・・え？」

やば・・

何言ってんだよ俺は。

・

「いや・・！なんでもないです。
これ、着てください。

差し上げます・・・！」

・

羽織ってた自分のセーターを
彼女の横隅に
ドサッと置いた。

・

「いえ、大丈夫ですから・・」

「せっかく来て頂いたのに
それじゃ申し訳ないですので。」

・

困ってる彼女に
俺は無理やりそう言って
押し付けた。

・

「じゃあ！・・連絡先聞いていいですか？
必ずお返ししますので・・・！」

・

「わかりました」

俺はその辺にあった紙に
殴り書きのように
携帯番号書いて

また無理やり押し付けた。

・

そのあとで

・

「不用心すぎる」

・

そうヨンベに突っ込まれた

何やってんだろ俺・・・

・

だけど

その時はなぜか
不思議だった。

・

その一瞬の笑顔が

・

俺の何かを変えたような

・

大袈裟かもしれないけど。

・

その時の俺には
そう見えたんだ。