WITHOUT YOU (ページ44)

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甘い感覚ページ44

・

「じゃあ、そろそろ帰るから。
ゆっくり休んで、元気になって。」

・

風邪の心配なのか
それともまた別を心配して声を
かけてくれたのか。

きっとそれは後者のほうで。

「ありがとう、ユンジェ。」

相変わらず、年下なのに
大人びた微笑みを向けたユンジェの
背中を見送った。

ドアが閉まると同時に
思い切り布団を被る。

また訪れる空虚な感覚が怖くって思い切り
目を瞑ると
口の中でまださっきまでの甘くてとろける様な
感覚がまだ残ってて。

そうだ。ジヨンにお礼しなきゃ。

・

ジヨンへのコール音が鳴るたび
今自分がどれほど情けないのか
なんだか痛感してきていた。

「ヨボセヨ。」

・

電話越しは相変わらず慌ただしくて。

「ジヨン？今平気？」

「ああ。大丈夫。今打ち合わせの合間だから。
どう？具合良くなった？」

「ジヨン？ごめんね。せっかく来てくれたのに
出れなくて。もうすっかり平気。」

・

そう。もう平気じゃなきゃ。
馬鹿みたいな恋愛でこんなになって。

それが恥ずかしくて、
ジヨンの声を聞いてこんな姿知られたくないって
すぐにそう思う。

・

「良かった。」

・

「差し入れありがとう。」

自分が哀れで、馬鹿で
会話も途切れ途切れにしか話せなくて。

・

「ん。じゃ、そろそろ始まるから
また、な。」

「うん。忙しいのにごめんね。じゃあまたね？」

「うん。じゃあ、またね。」

・

ずっと寝ていたせいで
まだ頭はぼんやりしたまま。

ずっと、暗い闇の中を彷徨っていたそんな
感覚が少しずつ解けていて

・

本当に、

本当にもう忘れなきゃって。

・

私の中にそんな想いが初めて
生まれた。