花が四輪。 ページ5
…翌日、学校の屋上にて。涼やかな風の吹く空の下。
空は晴れすぎていて、少し不快だった。
『…あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに
当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ
今痛いくらい幸せな思い出が
いつか来るお別れを育てて歩く』
君が生きていてとても嬉しいけれど
それと同時に僕を忘れてくれたことがたまらなく悲しいんだ
今 入院しているからこんなに一緒にいられているけれど
君が退院すればきっと、距離はどんどん離れていく。
『誰かの居場所を奪い生きるくらいならばもう
あたしは石ころにでもなれたならいいな
だとしたら勘違いも戸惑いもない
そうやってあなたまでも知らないままで』
僕なんかどうせその辺の雑草程度の価値なんだから
何にも干渉せずに生きていたかったなぁ
そうやって 君のことも
無かったものにしていたかった
『あなたにあたしの思いが全部伝わってほしいのに
誰にも言えない秘密があって嘘をついてしまうのだ
あなたが思えば思うよりいくつもあたしは意気地ないのに
どうして
…どうして
…どうしてぇっ…』
そこで声が詰まった。
目から涙が溢れて止まらない。
膝に力が入らなくなってしゃがみこむ。
『……う…ぐすっ…うわぁあぁん…』
久しぶりに声を出して大泣きした。
寂しかった。
苦しかった。
あの人の中にもう、私は、
居ないんだ。
『わぁあぁああ』
その時だった。
君が、私の背中に声をかけたのは。
国見「…何がそんなに悲しいの?」
『…あんたのせいなんだからぁっ…』
あなたの前で声を出してしまった。
笑顔以外の表情を向けてしまった。
…あなたに抱きしめられてしまった。
もう駄目だ。もうあなたの中から僕は、
…消えることが出来なくなってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
米津玄師様のアイネクライネを引用。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いち太郎 | 作成日時:2014年5月31日 23時