月とあたしと冷蔵庫 ページ12
「眠れない…」
時計の針は午前一時を指していた。
そっと布団から抜け出したあたしは、今にも零れだしそうな熱さを冷ますために冷蔵庫を開け、アイスクリームを取り出す。
ふ、と聞こえた鈴虫の声が何だか幻想的で、開けっ放しの冷蔵庫はそのままに、ベランダの窓を開けた。
「岳は私の事なんもわかってない！」
ただでさえ遠距離のあたしたちに無慈悲に降り注いだ“すれ違い”
当時のあたしは何をやってもうまくいかず、余裕がなかった。
頼りたくて、甘えたくて、仕方がなかった。けれど噛合わない日常。
飛び出したあの言葉に対して彼から返ってきたのは、「勝手にしろ。」だけだった。
それから連絡は途絶え、気が付けばもう二月もの時が経過していた。
アイスクリームの表面を撫でるように、スプーンに乗せる。
真っ白いそれが穢れた自分の心に反しているようで。
溶けていく様子を見つめていたら零れそうな涙の予感に慌てて空を見上げた。
いつからあたしは今の“素直じゃないあたし”を作ったのだろう。
“コノママ ガク ト サヨナラ シタラ…？”
開けっ放しの冷蔵庫は私の心を映しているようで、少し開いた隙間から漏れ出していく弱音、不安。
もう、閉じる勇気も、ない。岳の居ない日々は、耐えられない。
今日の満月は、あたしに気が付かないふりをして雲に隠れている。
岳も、同じ空を見上げているんだろうか。
岳も、あたしを思っているんだろうか。
「か細く漏れる光、あたしを照らしておくれ…」
毎日願えば届くだろうか。毎日叫べば伝わるだろうか。
ねえ岳、この不安定なあたしたちの距離を飛び越えて、また傍にいたいよ。
頬を伝った一筋の雫を、少しだけ顔を出した満月が照らしたから、もう、堪えきれなかった。
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ふーか(プロフ) - こんばんは！アカウントが変わってしまったのですが、秀平さんのお話をリクエストさせて頂いた者です！切なかったけど、とても心に沁みました。本当にありがとうございました！ (2015年11月26日 0時) (
レス) id: ad95ae4a49 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 初めまして！浜崎あゆみさんのdaysと言う曲で 岳さんのお話をお願いしたいです！ (2015年11月25日 21時) (レス) id: 4ec1503591 (このIDを非表示/違反報告)
ノン - いえいえ！こちらこそ本当にありがとうございました！また近いうちにリクエストさせていただきます！私一応受験生なもので…(｡-_-｡)あまり出てこれませんが、このお話はいつも読ませていただいています！ (2015年11月25日 20時) (レス) id: c8d5386802 (このIDを非表示/違反報告)
なーちゃん(プロフ) - いつも拝見させて頂いています！突然ではありますがリクエストさせて頂いてもいいですか？曲はHYさんのAM11:00をもとに大伍くんで書いてほしいです！よろしくお願いします(^^) (2015年11月25日 17時) (レス) id: 33e92886c0 (このIDを非表示/違反報告)
ノン - ありがとうございました！めっちゃキュンキュンしました(*^o^*) もう…最高です！笑 本当にありがとうございました！これからも更新無理せず頑張ってください！応援してます！ (2015年11月25日 7時) (レス) id: c8d5386802 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aries | 作成日時：2015年8月28日 0時
