星を眺めに ページ45
それから数秒後、彼女は目が覚めて「あっ」っと声をあげた。
「先輩と話したいことがあったんです」
不思議に思い、首を傾げると口をギュッと紡いで、頭を少し下げる。
「…その、すみません。朝あんな態度取ってしまって」
「あ、あぁ、そんなの気にしてへんって!それぞれ辛い時期あるやろ?」
「時期っていうか、元々、私関連のトラブル続きで先輩には悪い思いを沢山させているなと思ってあまり顔を合わせたくなかったんです。でも入間くん達に背中を押されて…話そうと」
「…なるほどな、僕の事を気遣ってくれたわけか」
「はい」
僕の彼女はほんまに優しすぎる。
___
手で顔を覆った先輩は盛大な溜め息をついて、
「そんなん心配せぇへんでもええ、僕はなーんも辛くない」
「でも…何回も倒れたり、誘拐とか色々…」
「その話はお終いや!…羽の練習せなあかんしな」
そういえば完璧に忘れていた。何日も広げていないから縮んでいるかも。
「あのな、僕の兄さんにも話したんや」
「電話の御相手ですか…?」
先輩は頷き、私の手を握った。
「もしかしたらAちゃんの家庭に秘密があるんじゃないかって思ってたんやけど、調べた結果、突然変異で羽が出なくなってただけで」
一瞬心臓がドキドキしたけれど何も無いと知って安堵した。
「兄さんによればこれからも練習すれば大きな羽出せる言うて!いやぁ、そんときは嬉しかったわ、「一緒に飛べる」って」
「…ほんとにありがとうございます、先輩」
「Aちゃんに褒められるとやっぱ照れるなあ」
笑う先輩につられ、私も笑えてきてしまった。
「なんや、僕おかしいこと言った?」
「いえ、何も…ふっ」
同時にス魔ホが鳴り、何かと見てみると、脱獄した犯人が再逮捕されたとの事だった。
「早かったな、でもこれで安心した〜…」
脱力したかのように体を垂らす。
「…私には先輩のスパルタ練習が残っているんですけどね」
「あと数日の辛抱やて!」
「…耐えれるでしょうか」
先輩に体中の粉をはらってもらい、鞄を抱えた。
「今日星が綺麗らしいですよ、さっきのニュースでやってました」
「お!ほんなら、見に行く以外の選択肢ないやろ〜」
「ですね」
私の方から手を握り、先輩を引っ張った。
「あんまり引っ張ると吐血すゴフッ」
「あ、すいません…」
落ち着いた先輩は私に向かってこう言った。
「…僕は幸せものやな」
「…私もです」
互いに笑い、廊下を歩く。
時折窓から見える空はとても輝いていた。
〜END〜
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アイリ - 続き楽しみにしてます! (2020年2月25日 18時) (レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
アイリ - あ、ありがとうございます!面白かったです! (2020年2月25日 18時) (レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
沫梨(プロフ) - アイリさん» コメありがとうございます!結婚式ですね!了解です! (2020年2月24日 20時) (レス) id: 175b7a0ad4 (このIDを非表示/違反報告)
アイリ - 夏祭り面白かったです!リクエストよろしいでしょうか?結婚式よろしくお願いします!これからも頑張ってください! (2020年2月24日 18時) (レス) id: 9394df581f (このIDを非表示/違反報告)
沫梨(プロフ) - スイカバーガチ勢野坂さん» 遅れてしまい申し訳ありません!夏祭り了解しました!!コメありがとうございます! (2020年2月20日 21時) (レス) id: 175b7a0ad4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沫梨 | 作成日時:2020年1月5日 10時