差出人不明の手紙 ページ7
あれから随分と長い時間調べていたようで、時計を見ると日をまたぐ直前だった。これはまずい。
｢…遅刻はしたくない｣
さっと歯磨きや顔の手入れをして眠りについた。
＿＿＿
土曜日.
バイト時間になり、玄関のドアを開けると不自然なことがあった。
｢なに、これ｣
ポストに入っていた一通の手紙。開いてみると、写真らしきものと紙。
｢…え｣
その写真には昨夜の私と目黒さんが映っていた。続いて紙を開く。
＜あなたは蓮くんの彼女か何かでしょうか、違うのなら私の蓮くんに近付かないでください＞
丸っこい字でそう書かれていた。その下には。
"この泥棒猫が"
落ちていた写真を拾いあげれば私の部分だけカッターか何かで何個も切り傷が。
｢ひっ…!!｣
また写真を落としてしまったが、すぐ拾って鞄に押し込んだ。時間的にもまずいのでそのまま持ってきてしまって、店長に怪しまれた。
＿＿＿
｢目黒さんに言ったら謝られるのかな｣
皿を洗いながらそう思う。目黒さんは何もしていない。もしボイレコで会話を録られたりしてたらどうしようか。
丁度洗い終えた時、ベルが鳴った。
｢はーい｣
キッチンを出ると見慣れた影が。
ラ｢宮森さん！｣
｢あ、ラウールさん｣
髪を白じゃなく黒に染めたラウールさんがいた。ファン対策用だろうか、マスクと眼鏡をしている。
｢座ってもいいですよ｣
ラ｢じゃあ…あそこのカウンターにしますねっ｣
上機嫌なのかるんるんで席に座る彼。
ラ｢あの、トーストありますか？｣
｢はい、ありますけど、モーニングセットか普通のトーストだけとなってますが｣
店｢私はモーニングセットがオススメ！！だってAちゃんの淹れる珈琲すっごく美味いんだから！｣
店長が後ろから出てきて説明をした。
ラ｢それでお願いします！｣
｢分かりました｣
先に珈琲を出した時、角砂糖を一つずつ入れながら甘さを確かめるラウールさんが少し可愛く見えた。
｢…｣
目黒さんとは会えていないから伝えておいてもらえるだろうか。
"夜、カフェに来てください"って。
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作者名：沫梨 | 作成日時：2020年2月20日 18時
