陽だまりに溢れて (ページ46)

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４人がそれぞれに思うこと・４ページ46

赤side

さっとシャワーを浴びて脱衣場に出ると、廊下側からフワッと美味しそうな匂いが鼻を掠めた。

少々雑に髪を乾かしいそいそとキッチンに向かうと、望がロングＴシャツの袖を捲り上げ前髪をひとつに束ねたいつものスタイルで何やら真剣な顔つきで調味料棚を見つめていた。

赤「風呂…シャワーにした…先ありがと…」

眉間に皺を寄せたその横顔に声をかけると、険しい表情は瞬時に消え柔らかい笑みを浮かべてこちらに振り向いた。

桃「温まった？俺も飯まだやったから勝手に米炊いてもうたわ」

赤「うん」

炊飯器からはグツグツと白米を炊く音が聞こえ、コンロの上で温め中のポトフは鍋からコンソメのいい匂いが立ち込める。

お腹がきゅるると音を立て、そういえば空腹だったのだと思い出した。

彼の後ろまで近づき、作業の邪魔にならないように気をつけながら背中に抱きついた。

望は何も言わずに俺の頭を軽く撫でると、切り終えていた野菜や肉をフライパンに移し炒め始めた。

背中に耳を当て望の鼓動を聴いていると突然クスクスと笑い始め、その振動が背中から伝わってくる。

髪、まだ乾ききってないのバレてもうたかな…

抱きついたままフライパンを握る手元を覗くと頭上から視線を感じ、上を向くと蠱惑的な目と合った。

桃「お腹減ったん？これは傷み始めてたから使ってまいたくて」

家主よりも我が家の冷蔵庫事情を把握されている事を恥ずかしくも嬉しくて、お腹に回していた腕に自然と力が入り背中に顔をすりすりと擦り付けた。

桃「和風と中華風、味付けどっちがええ？」

赤「うーん…じゃぁ和風」

桃「ふふっ、そうやね、おっけー」

赤「どうしたん？あ、風呂入らんの？続き俺やるで」

桃「ありがと。でも今日、収録で汚れたからテレビ局でシャワー浴びてきてん。俺は大丈夫やからちゃんと髪乾かしてき？」

そう言って再び俺の髪を撫でる。

赤「そうする。ってか、スタジオ収録で汚れるって何しよったん」

桃「放送日まで内緒ー」

やっぱりバレてたか…

背中からそっと離れ脱衣場に戻ろうとした時、スウェットのポケットの中で携帯が短く振動した。