人の気も知らないで・24 ページ38
桃side
赤『もしー?』
そのたった一言でも分かる。
流星に言われたからそう感じるわけじゃない。
桃「大毅?お疲れー、今家に居るん?」
赤『……さっき帰ってきたばっかやでー』
嘘ばっか、隠せてへんて。
桃「どしたん?」
赤『んーん、何でもない。だいじょぶだいじょぶ〜」
そうやって平常心装って、いつも通りふざけて誤魔化そうとして。
昔からそう。
なんでもないふりして誰にも弱みを見せようとしない。
赤『そういえば、飯ありがとな』
桃「あっ、気づいたんや?良かった〜。大毅のこと驚かそう思ったんやけど、もし気づかんかったらあかんから、後で絶対言わな!とは思ってたんよー」
大毅が隠そうとするなら、今はまだそれに合わせて俺も気づかないふりをする。
そうやって話を続けながらエレベーターから降りると電話越しに開閉音が聞こえたのか、大毅が「今、家着いたん?」って聞いてきた。
桃「ん〜ちょっと待ってなー?」
そう言って、玄関扉を合鍵で開けた。
そういえば家の中、勝手に入るの初めてやわ。
ふとそんなことを思いながら覗き込むようにして中に入ると、リビングのある方から灯りが漏れている以外真っ暗だった。
そのリビングからはガタンッと物音が聞こえ、耳に当てたままの携帯からも同じ音がした。
廊下を直進しリビングの扉を開けると、キッチンからの灯り以外電気はついておらず、薄明かりの室内を見渡すとソファーの近くで呆然と立ち尽くす大毅と目があった。
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作者名:がうら仁歩 | 作成日時:2021年4月19日 18時