陽だまりに溢れて (ページ35)

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人の気も知らないで・２１ページ35

青side

桃『流星、どうしたん？』

桃『何で？しげ、なんかあったん？』

最近、遠回しにだが “二人の関係” について探りを入れるような事をしていた所為か、望の声は妙に警戒心をはらんでいた。

青「なんかなぁ落ちこんでるらしいねんて、神ちゃんが言っとる」

桃『え？ふたり、喧嘩でもしたん？』

あの二人がそんなわけないやん…

緑「ちょっと、流星！何言っとんの！？」

電話に出た途端、望に「しげのところに行け」と話し出す俺に唖然としていた神ちゃんが、突然、我に帰ったかのようにテーブルから身を乗り出すようにして立ち上がった。

紫『どしたん？どしたん？』

緑「流星！！」

電話越しには濵ちゃんの不安そうな声が聞こえ、隣では俺の横に移動してきた神ちゃんが必死に電話をやめさせようと携帯を奪おうとしてくる。

青「喧嘩ではないねんけどな……あー、まだ移動車に乗ってんねやろ？濵ちゃんの声聞こえるし。そこじゃそんなに話せんやろうし、とりあえずしげのとこ行って話聞いてあげてや。」

桃『ちょっと待って、だから何があったん？』

望も、当たり前だが俺の一方的な話に少し苛立ち始めている。

わざと神ちゃんの前で望にこんな風に話したが、想像以上に収集のつかなくなってしまったこの状況に正直投げ出したくなった。

しかし、これもしげの為やと思い直し、それと同時にあいつの苦しそうに笑ったあの時の表情が脳裏によみがえる。

もう、こんな思いすんのはやめにしようや…

小さく息を吐き、望にその気なんて微塵も思っていない事をあえて言ってみた。

青「…それとも俺が行った方がええ？」

桃『はぁ！？なんでそうなんねん！』

俺がけしかけると案の定、望の声色が瞬く間に怒りを含んだものに変わった。

それがどういうことを意味するのか本人はわかっていないのだろう。

青「だったらしっかりしいや、お前のなんやからちゃんと見張っとけや。じゃ、あと頼むで！」

最後にそう伝え、俺は一方的に通話を切った。