陽だまりに溢れて (ページ33)

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人の気も知らないで・１９ページ33

桃side

濵ちゃんと一緒にゲスト出演したバラエティ番組の収録終わり、帰りの車内で数時間ぶりに携帯を見ると流星から【仕事が終わったら連絡してや】とメッセージが届いていた。

飲みの誘いかと思い、昨日の事もあったせいか少し警戒しつつ電話をかけると、２コールで流星は電話に出た。

桃「流星、どうしたん？」

青『望？急で悪いんやけど、今からしげのとこ行ける？』

桃「何で？しげ、なんかあったん？」

確か撮影の後、神ちゃんとラジオ収録やった気がすんねんけど。

しげから何も連絡来とらんし。

まさか事故とか…

青『なんかなぁ落ちこんでるらしいねんて、神ちゃんが言っとる』

桃「え？ふたり、喧嘩でもしたん？」

よく聴くと後ろの方で微かに神ちゃんの焦ったような声が聞こえる。

一瞬頭を過った最悪の事態では無さそうだが、神ちゃんの声につられて俺の心臓もざわつく。

それに隣の座席に座っている濵ちゃんも、何かを察知したのか「どしたん？どしたん？」と不安そうにこっちを見てる。

青『喧嘩ではないねんけどな……あー、まだ移動車に乗ってんねやろ？濵ちゃんの声聞こえるし。そこじゃそんなに話せんやろうし、とりあえずしげのとこ行って話聞いてあげてや。』

桃「ちょっと待って、だから何があったん？」

青『…それとも俺が行った方がええ？』

桃「はぁ！？なんでそうなんねん！」

青『だったらしっかりしいや、お前のなんやからちゃんと見張っとけや。じゃ、あと頼むで！』

桃「おい、ちょっと。流星！？」

流星は一方的に用件を話すと俺の質問には一切答えずに電話を切った。

桃「なんやねん…」

突然すぎてわけ分からんけど、流星に煽られるとなんか腹立つわ。

紫「望？しげちゃんになんかあったん？」

桃「えっと…なんやよう分からんかったわ。流星のやつ…が、酔ってて！酔って、しげっ…茂みに！土手の茂みにハマったとか訳分からんこと言っとったわ！」

濵ちゃんが心配そうな顔をして俺を見ていたのでなんと説明しようか一瞬迷ったが、昨日から続く流星の意味深な行動に若干ムカついていたので、小さな腹いせとして勝手に酔っ払いの悪戯電話ということにしてやった。

紫「土手の茂みって、あいつどんなとこ歩いてんねん」

こんな適当な嘘でも素直に信じる濵ちゃんのアホさ加減に感謝しつつも、もう頭の中はしげのことでいっぱいだった。