陽だまりに溢れて (ページ4)

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愛しい秘密・３ページ4

桃side

早朝からの地方ロケは例に漏れず今回も過酷を極めた。

着替えを済ませロケバスの定位置に座るとどっと疲れを感じ、このまま座席に沈み込んで同化してしまうのではないかと錯覚に陥りそうになる。

数時間ぶりに携帯をいじると大好きな人からの連絡が来てないか確認する。

桃「……なんも来てへん…。」

今日一番の楽しみを失ったような寂しさを感じ、不貞腐れたようについ口を尖らせてしまう。

最近、一緒の仕事もなくお互い個人の仕事で忙しくて全然会えていない。

疲れているせいからなのか、最後に触れたのっていつだっけ？とか、今すぐ会いに行ってキスがしたい！だとか、そんな邪な気持ちが頭にチラついた。

連絡が来ないならこっちから送ってしまえと、【今から会いたい】とメッセージを入力する。

送信する前にふと思い直し、手が止まる。

最近、楽曲の方が完成して作詞に苦労してたから、仕事が休みのはずの今日も家に篭って独りで格闘してるんやないやろか？

そもそも出かけてるかもしらんし…

急に、会いたい、なんて、今のあいつには特に迷惑やないやろか？

楽曲制作の邪魔になるような事は絶対にしたくない…

でも、やっぱり会いたい気持ちも抑えきれず、結局【家に居るなら行ってもいい？】みたいな遠慮してんだかしないんだかよく分からん文章を送ってしまった。

送った後に若干の後悔が残ったが、そんな気持ちも杞憂に終わるくらい直ぐに快諾の返事が返ってきた。

赤【了解。待っとる】

シンプルな言葉だが年下の自分に素直に甘えてくれている感じがして、マスクの内側の口元が自然と緩んだ。