人の気も知らないで・16 ページ30
青side
昼過ぎには仕事を終え、午後からは買い物をしたり家でずっと観たかったライブのDVDを鑑賞したりと久しぶりにひとりでゆっくりとしたオフの時間を過ごしていると、夜になってから突然神ちゃんから電話がかかってきた。
珍しいなと思い電話に出ると、これまた珍しく落ち込んだ様子の声が聞こえた。
緑『流星、ごめん、俺やってもうたわ…どないしよ、ほんまやってもうてん、あーどないしよぉ…』
何を「やってもうた」のか全然分からへんねんけど、兎に角何かをやらかしたってことだけは分かった。
青「どないしたん、ちょっと落ち着き?珍しいやん、神ちゃんがそないに慌ててんの。マネージャーは?しげも一緒に居らんの?」
確かしげと一緒にラジオ収録やって聞いたような気がすんねんけど…
神ちゃんを落ち着かせようとそばに誰かいないのか尋ねると、しげの名前を出した途端、電話越しにでもわかるくらい神ちゃんの声のトーンが一気に下がった。
緑『…俺な、しげにな余計な事言ってしもて……しげのこと傷つけてしもたかもしれん』
神ちゃんはそう言って一呼吸おいてからしげとの間にあった事を話しはじめた。
なるほどなぁ…随分とまぁ懐かしい話が出てきたもんやな。
緑『しげ、笑って「大丈夫やぁ」言うてたけど、絶対昔の事とか思い出してしもたと思うんよ…。のんちゃんとのこともあるし、また一人で抱え込んだりしたらって思ったら…俺、どうしたらええんか分からんくなって…』
そう言って神ちゃんの声はますます暗くなっていった。
けど、神ちゃんの話を聞いているうちに、しげの落ち込んでいる要因は神ちゃんの思っている事とは少し違う気がした。
たしかにしげは繊細なところがあるし、特にあの一件では一生癒える事のないくらい心に深い傷を負ってしまった。
神ちゃんはそんなしげの気持ちに誰よりも寄り添って、仕事に拘泥していくしげが壊れてしまわないようにシンメとして一番近くで支えてきた。
神ちゃんほどしげの事を理解している人はおらんと思う。
でもそれは逆にしげにとっても同じ事が言えるんとちゃうか?
もし今もまだ神ちゃんの言うように気持ちが沈んどるとしたら、あいつの性格からして多分それだけやないと思うねんけど……
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作者名:がうら仁歩 | 作成日時:2021年4月19日 18時