陽だまりに溢れて２ (ページ23)

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覚悟の話・３ページ23

黄side

「中間さん、次で降りますよ。」

マネージャーに声をかけられ、気がつけば始発で乗った新幹線があと数分で新大阪駅に到着するところまで来ていた。

約２時間半もあった乗車時間の間、勉強をするでもなく本を読むわけでもなく、ましてや仮眠すらも取らず、ただただぼーっとしていた。

すぐに下車できるよう身なりを準備し到着を待っている間、ふと携帯を手に取りメッセージアプリの中から一番使っているトークルームを開く。

毎日煩いくらいに稼働していた七人のグループメールは、６日前から止まったままだ。

事の発端のなった小瀧からのメッセージまで遡り、手を止める。

桃【俺としげの二人からメンバーに話したいことがあるんやけど、近々七人だけで集まれへんやろか？お願いします。】

いつもどおりの言葉遣いでも、こんな風に改まった誘いに俺も含めて全員が、二人から何か真面目な話があることはすぐに理解できた。

それも個々に会ってとかやなくて、マネージャーやスタッフさん抜きの、ほんまに“七人だけで”直接話したいという小瀧の要望には、それほどにまでに重大な話であると考えられるし、きっとグループとってはあまり良く無い話なんやろう。

少なくとも本人達はそう思ってそうやな。

画面下に向かって少しずつスクロールし、約束の日時が決まるまで続いたやり取りを一文ずつ読み返す。

主に小瀧と照史が中心になってお互いの予定を出し合っているのもあって、やり取り自体は簡潔でいて、かと言ってピリついた空気感があったわけでも無い。

最後は照史が送ってきた“敬礼をする犬のスタンプ”で、このやり取りが終わっている。

こういう時、機転の利く照史がいてくれて良かったと改めて思う。俺やったら絶対この場で余計な事聞いてた気がするわ…

ただ、なんとなくやけど、知ってそうなメンバーも何人かいそうな感じがすんよな…

…ダメやな。二人を信じていても、どうしても良く無い方へと考えてまう。

「中間さん、大丈夫ですか？着きましたけど…」

黄「え？あ、うん。ごめんごめん。」

マネージャーに声を掛けられて顔を上げると、周囲の乗客が続々と降り始めていた。

マネージャーの後ろに続いて急いで新幹線から下車し、タクシー乗り場まで向かう道はいつもと同じはずなのに、いつもより足取りが重く感じる。

約束の時間まであと１１時間。

東京へ帰るまで、今日は一日が長く感じる気がする。