覚悟の話・１ ページ21
赤side
シャワーも浴びたし、朝食も軽く食べたし、歯も磨き終わって、なんなら髭剃るついでに眉毛も少し整えた。
それでもマネージャーが迎えに来るまで、まだ30分以上は時間がある。
稀に早く起き過ぎて、こんな風に時間を持て余す時もあるのだが、そういう時は大抵、掃除したりピアノを弾いたり、たまに散歩へと出かけたりして過ごす事が多い。
だけど今朝はそんな気分にもなれなくて、家の中を無駄にうろうろとしてる。
赤「はぁ…」
寝室のクローゼットの前に掛けられたネイビーのセットアップ。
その袖をそっと掴むと、自然とため息が出た。
今日は仕事が夕方に終わって、一度帰ってきてから急いでこれに着替えて集合場所へ向かわなければならない。
急ぐくらいなら朝から着て行けばいいのにそうしないのは、この一着のおかげで緊張が数倍にも膨れ上がるだろうと分かっているから。
赤「…あ、�陲舛磴鵝∈Ｆ�オフに変わっとるやん。神ちゃんも午後からオフになっとるし。照史と流星は早朝から地方にロケで、淳太が終わるの一番遅いねんな…」
って、あれ？小瀧、もしかして時間変更になっとる…？
携帯のアプリからメンバーの共有スケジュールを確認すると、今日に限ってそれぞれの仕事に若干の変更が生じていた。
普段からメンバーのスケジュールを把握しているわけではないが、今日この日だけは全員の動きを覚えていた。
中でも、小瀧の個人仕事が１時間以上後ろ倒しにずれており、変更された時間通りに終わったとしても集合時間に間に合うかはギリギリといったところ。
仕事の内容的にそこまで時間を押すとは考え難いけど、一応連絡しとくか…
アプリを閉じ、電話をかけようとしたところで逆に着信音が鳴り、画面に表示された名前を見てすぐに出た。
赤「おはよう」
桃『おはよー。…ごめん、今日の仕事変更あって着くのギリかもしらん。』
まだ少しまったりとしている甘い声。
時間的にもまだ寝とったやろうし、マネージャーからの連絡で起きたんやろな。
赤「うん。今さ、俺もスケジュール見とった。」
桃『…呼び出した本人が最後に着くとか印象悪いよなー』
赤「仕事やし、それはしゃあないやろ。」
桃『それはそうやけど…、そうやんな。ごめん。これ以上遅くなりそうやったら、またどっかで連絡入れるわ。』
赤「うん…」
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作者名：がうら仁歩 | 作成日時：2022年2月1日 16時
