陽だまりに溢れて２ (ページ20)

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◆昨日と明日・２０ページ20

桃side

「お待たせしましたー。次にお待ちの方、どうぞー」

そうこうしているうちに店員に呼ばれ、決して大きくはない店の中に一人ずつ入って行く。

みんなの後ろに続いて店の中に入ろうとしたタイミングで、俺の前にいた神ちゃんが足を止めてくるりと振り返った。

緑「あのね、流星で折半する事になってん。あとで、流星にお礼言うん忘れんでな」

神ちゃんはちょっとだけ照れくさそうにそう言うと、すぐに前に向き直り店内へと入って行った。

桃「神ちゃんの方がよっぽどかわええやんか」

俺がおらんかった間にもきっと色々と話したのだろう。

神ちゃんと流星の仲が元通りになったことは素直に嬉しいし、

今日はしげが居らんけど、久しぶりにメンバーで飯食うのやってめっちゃ楽しい。

でも、

俺を守ろうとしてくれた大きな背中

俺を心配する目と触れ合った額

誰かを想って驚くほど小さく丸まった背中

同じように見上げられたはずなのに、

首を傾げる仕草よりも、眉毛を八の字にして笑った顔の方が印象的で……

そっか、

俺の知らん顔を見るのが、ショックやったんや。

あ、…

自然と脳が心にストップをかけた。

恐らく、ここから先へは進んではいけない。

自覚してはいけない。

言葉にしてもうたら…

文字にしてもうたら＿＿＿、

青「望？どうした…」

流星に声を掛けられて我に帰る。

桃「ごめんごめん。あ、神ちゃんと仲直りできてよかったな」

青「うるせー」

もう明日から、昨日の俺に戻られへんくなる。