私のお話 ページ1
ピピピ…ピピピ…
少し控えめな電子音が聞こえる…
その聞き覚えがない音に驚き、とっさに体を起こす。
そこはやはり、見覚えの無い部屋だった。
そっか、私は昨日から降谷零もとい、安室透と同居生活をしているのだった。
私が住んでいる家は遠く、今後一緒に行動していく中で、先に潜入捜査の為に降谷が借りているアパートで同居生活をした方が都合が良いだろう、との上の見解だ。
上司命令で仕方なく同居するけど、仮にも男と女だぞ、何かあったらどうする!
そう思ったけど、降谷が相手と聞いて安心した。
前に一度、ずっと片想いの人が居ると聞いたことがあるし、あの降谷だったら変なことはしてこないだろう。
机の上に真新しい身分証が置いてある。
それをそっと拾い上げた。
『雲海小夜』
『26歳』
『女』
『大型車第二種免許』
これが今日から私の設定だ。
A「雲海、小夜っと!」
小声で自分に言い聞かせる。
呼ばれたら反応しなくちゃいけない。
A「こういうの久しぶりだから緊張する。」
もともと、小さい頃から成績や運動など人並み以上は出来ていた。
その為、公安に入った頃も出世は早い方だろうと、世話をしてくれていた先輩が笑って言っていた。まぁ、それはおふざけで言った事だったと思う。
しかし、やっと慣れてきた頃に、公安の所持している国家機密を知ってしまい、まだよくわからないまま昇進した。
公安の生きた都市伝説である、イケメンで、何でも出来て、若いのにとても早いスピードで出世をしたという、降谷零という男より。
ここで、やっと私は気が付き、思わず突っ込む
A「え!大型二種!?いや、免許持ってるけども!運転出来るけども!必要か!?」
ブーッブーッブーッ
スマホがなった。
今は9時。朝から予定はないし、なんだろう?と枕脇にあるスマホを手に取り確認した。
だけど画面は真っ暗で、バイブも機能していない。
あれ?と思い、ベットを抜けて音のする方へ行ってみる。
確か降谷は、潜入先である黒の組織一員、ベルモットに朝方から呼ばれて出掛けているはずだ。
ダイニングのテーブルの下にそれはあった。
ブーッブーッブーッ…
手に取った瞬間にバイブが消えた。
『着信あり:風見』
正直驚いた。
降谷がこんなミスをするなんて考えられなかったから。
急を要する案件だったら、と少し考える。
今の時間戻って来ていないと言うことは、このまま10時から出勤のポアロに行くはずだ。
A「仕方ない…」
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作者名:黒猫になりたい | 作成日時:2019年1月15日 1時