◼️ ページ47
一睡も出来なかった私の顔は
絶不調だった。
いつもはすぐ｢仕事しろ｣って
いじってくる部長でさえ
私の顔を見て｢おう｣しか言わなかった。
いつもの仕事のスピードが100としたら
今日の私のスピードは2だ。
｢春川！お昼！うまいもん食ってこい！｣
部長が500円くれた。
500円で買えるうまいもんってなんだろう。
とぼとぼ食堂へ向かえば
とある人の後ろ姿が視界に入って足が止まる。
話を聞いてほしい。
でも話せるように言葉がまとまってない。
情報処理が出来ていない。
｢は？お前日本語話せよ｣って言いかねないその人は
何かを察したように振り向いた。
目が合えば
どこかで必死に我慢していた涙が溢れてきて
視界が滲んでいく。
なんだかんだで
私はその人に甘えてしまう。
そしてその人はなんだかんだで優しい。
私の方へと歩いてきて、ギョッとした顔をする渡辺先輩。
渡｢どうした？なんで泣いてんだよ｣
『…』
渡｢腹痛い？うんこ？｣
下品。そんなツッコミをする元気もなく
小さく首を横に振る。
渡｢桃田になんかされた？｣
もう一度首を振れば
はあ、と大きなため息をつく。
そしてスマホを取り出して耳に当てて
渡｢あ、もしもし。なんか馬鹿が泣いてる。
うん。食堂でメソメソしてるから。はーい。じゃ｣
目の前で盛大な嫌味。
電話の相手もすぐ分かる。
渡｢こんなとこで立ち止まってたら迷惑だろ。
あっち行くぞ｣
腕を掴まれてテラス席へ連行。
次から次へと流れる涙。
この涙はどういう感情の涙なのか自分にも分からない。
ご飯を買うため一旦席を外した先輩と共に
｢めっちゃ泣いてんじゃん…｣って
若干引いてる柊花が合流した。
渡辺先輩が食えと目の前に置いたのは
信じられない量のとんかつカレー。
『……量が…』
柊｢先輩、Aが号泣してるから
焦ってメガ盛り押しちゃった｣
渡｢別に焦ってない！押し間違えただけ｣
『……先輩が食べてくださいよ』
渡｢うるせえ。黙って食え｣
ちゃんと寝れてない私からして
こんな馬鹿みたいな量に手をつけられるはずもなく
ただただとんかつカレーを見つめる。
柊｢目黒くん？｣
前触れもなくズバッと切り込んできた。
無意識に体がビクッと反応した。
渡｢…柊花ちゃん午後の仕事ってなに？｣
柊｢…デスクワークです｣
渡｢有給使える？｣
柊｢はい｣
優秀な2人。
話がはやすぎる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4259人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まりりん(プロフ) - 読み返し読み返し…また戻ってきました！もぅ、策士な目黒くんの言葉にドキッ！きゅん♡の沼ですよ。渡辺先輩のアシストもさすがだし。逢沢さんの作り出す台詞が、それぞれにドンピシャすぎて脳内ドラマ再生しちゃってますもん！笑！続き楽しみにしています！ (2022年9月23日 3時) (
レス) @page49 id: 65e5944be6 (このIDを非表示/違反報告)
みずき(プロフ) - 気になりすぎます、、、。どうなるのか気になって毎日読んじゃってます！ (2022年9月21日 21時) (レス) @page49 id: 6f1d9dcbb1 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - すごーく楽しみに待ってます！待ちきれず何度も最初から読み返しています…。春川さんと目黒くんの今後を楽しみにしています！ (2022年9月21日 20時) (レス) @page49 id: 7edd60c260 (このIDを非表示/違反報告)
tsu(プロフ) - コメント失礼します。ほんと大好きな作品です。私の好みを全部知ってるんじゃないかと思うほどドンピシャすぎて１ヶ月に1回は読み直してます。お願いです。もっと主さんのこの作品を読ませてください！続き毎日楽しみに待ってます！ (2022年9月21日 19時) (レス) @page46 id: 5f3df0e30b (このIDを非表示/違反報告)
はるはる - 昨日読みはじめて、一気にここまで読んじゃいました。どきどき、にやにやが止まりません。お話の続き、楽しみにしています。 (2022年9月21日 18時) (レス) @page46 id: 7d12ceb543 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：逢沢
| 作成日時：2022年1月1日 17時
