ガトーショコラ。＊2切れ目☆【wrwrd!短編集】 (ページ43)

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＊当たりくじ　　オスマンページ43

今日はホワイトデー。
学校中の女子生徒がそわそわドキドキ、胸を躍らせている。
私もそのうちの1人だけど。
バレンタインデーに思い切って密かに想いを寄せていたオスマン君にチョコを渡したのだ。
「あ、の…オスマン君。よかったら、受け取ってほしいんだけど…」
「もちろんやで。ありがとう」
彼は短くそう答えた。
あの時の記憶が鮮明に思い出された。
緊張で手が震えながらなんとか渡した手作りチョコ。
ニコッと微笑んで受け取ってくれたオスマン君。
嬉しいような、恥ずかしいような、なんとも言えない気持ちになった。
そして今に至る。
誰から聞いたかは忘れたけど、どうやらオスマン君の本命の人のみお返しを渡すらしい。
学年でもトップクラスにモテる彼。
ライバルはとても多い。ファンクラブが存在する程。
クラスを見ても、どの女子もばっちりメイクをしてスタンバイしている。
私も今日は色付きのリップだけしてみたけど、やっぱりその子達と比べたら遥かに魅力的ではない。
正直、諦めている。
何十分の一の当たりくじなんて、私じゃ引き当てられない。
すると、オスマン君に話しかけられた。
「なぁAちゃん」
「は…はい、何？」
周りの女子にも緊張が走る。
「ノート見せてくれへん？書き忘れたとこあんねん」
一気に緊張が解けた。やっぱり、期待するだけ無駄かもなぁ…。
私はノートを渡し、一息ついた。
数分してオスマン君からノートが帰ってきた。
一応確認すると、前回の授業のページに
『放課後、教室で待っててくれへん？』
と綺麗な字で書いてあった。思わず3度見した。
何かの間違いだと思ってオスマン君の方を見ると、ニコッと微笑まれた。
え？期待してもいいの…？

そして迎えた放課後。
出来るだけゆっくり準備して、誰もいなくなるのを待った。
そこに彼は現れた。
「ちゃんと残ってくれたんや」
「う、うん…それで、私に何か？」
緊張して目を見れない。心臓が強く脈打ってて苦しい。
「バレンタインのお返しをしたくて。はい、これ」
「私に…?あ、りがとう…！」
私は綺麗にラッピングされた箱を受け取った。
「あとさ、」
そこまで言うと彼は私に近付いて頰に手を添えて
「俺と付き合ってくれへん？」
と言った。
夕日に照らされている彼の顔はすごくカッコよくて色っぽく見えた。
「嫌やったらええねん」
彼は眉を下げて笑った。そんな訳ないじゃん。
「私でよければ、喜んで」
恋の当たりくじ、引いちゃいました。