＊血は争えない グルッペン・フューラー ページ18
夜の冷たい風が私の頬を掠めた。
秋も深まり、段々寒くなってきたこの時期に私が窓を開けている訳。それは、
「血をもらいに来たゾ」
吸血鬼、グルッペン・フューラーが毎晩この様に血をもらいに来る為。
私の先祖に吸血鬼の血を引く人がいて、その所為なのか、私の血を飲むと力がみなぎるらしい。
そんなに力をつけてどうしたいのかは分かんないけど。
「はいはい、どーぞ…」
私は襟を引っ張って頭を傾け、首を差し出した。
「毎日すまんな」
グルッペンは静かに首に牙を刺し、血を吸い出した。
「痛っ…」
「もうふこひだ。があんひてくえ(もう少しだ。我慢してくれ)」
「くすぐったいから喋んないでー…」
しばらくしてグルッペンは牙を抜き、傷口を2、3回舐めた。
「美味かったゾ」
「そりゃよかったでーす…今日長くなかった？いつも以上に…ヤバい……」
私は全身の
「すまんな。最近タチの悪い
だからそれに備えて今日からちょっと多めにもらうで」
なるほど…吸血鬼界でも色々あるのね。案外人間と同じで大変そう。
「そいつらは…どんな悪さ…するの？」
「街の人間の血を吸い漁ってるんやって」
「そっかぁ…」
あーヤバい。眠くなってきた。
「眠いんか？眠いなら寝たほうがええ。人間は強くないからな」
「んー…そうしたいのは山々なんだけど…」
なんせ血が足りないから身体が鉛のように重たくて動かない。力も上手く入らない。
「動けないんやな？」
「…はい」
「まぁこうなったのは俺の責任やし、ベッドまで運んだるわ」
私の重たい体はいとも簡単にグルッペンに持ち上げられ、静かにベッドに下ろされた。
「…あ、りがと」
「お礼を言えたご褒美をやろう」
するとグルッペンの紅い目が近付いてきて、唇に生温かいものが触れた。
「明日も来るで」
「はーい…」
グルッペンは黒いマントをなびかせながら窓を飛び降り、闇夜へと消えていった。
血、というのは本当に争えないもので、前途した人のように、私もまた、こうして吸血鬼に想いを寄せている人間なのだ。
「明日も忘れず来てね」
「言うたな？遠慮なくもらいに行くゾ」
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作者名：ウィング＆テンライ | 作成日時：2018年9月23日 13時
