07:言いたくないか? カイトside ページ8
クラーケンを一撃で倒したA｡
あんなに運動神経がよかったから､ずっと少年だと思っていた｡
それが一変…マントを剥ぎ取ると何も身に付けていない小さく体に不似合いで無骨な重々しい手枷｡
そして…少女だとわかって硬直をした｡
それを壊すように震えだしたAは手枷を隠すように小さく踞って泣いていた｡
｢見ないで｣との一点張り｡
よく見るとその背中や腹や腕などには無数の傷が沢山つけられていた｡
新しいものでつい最近のもの｡
それらを隠すようにもしていたようにも見えた｡
･
｢………｣
バスタオルを持つと､シャワーを止めてそれをかける｡
Aを抱き上げると､その姿に改めて少女だと気づかされた｡
･
｢……悪かった｣
まだ濡れたままの体をベットの上に腰かけさせると､クシャクシャと髪の毛をふきあげた｡
背中を半分隠す髪は､汚れを一掃し､綺麗に輝いている｡
･
｢…顔赤いぞバカイト?｣
｢…なんでもない｡さりげにバカ言うな｣
髪を拭きあげ､新しいバスタオルを持ってくるとそれを体にかけた｡
すっぽりと収まったらしく手枷も見えない｡
･
｢……何で手枷を隠したがる?｣
｢………｣
｢……言いたくないか?｣
｢当たり前だ｡"デレカスィー"というやつだ｣
｢"デリカシー"な｣
･
即答だった(しかも間違ってるし)｡
さっきまでの弱々しい雰囲気なんかなく今は堂々とふんぞり返っている｡
まあ無理に聞く訳にもいかないし､必要もないか｡
隣に座るともじもじしながらやっとその口を開いた｡
･
｢……あのさ…｣
｢何だ?｣
｢…何も思わなかったのか?こんな手枷を見て｣
｢いや…別に｣
こっちはなにも思わなかった以前の問題で頭を悩めている｡
…どうやらAは｢自分の裸が見られた＜手枷を見られるのが嫌だ｣と考えてるようだ｡
羞恥心はないらしい｡
いっそう清々しいのがいいが…人間的な意味で将来が心配だ｡
･
｢そっか…｣
半分安心､半分不安な表情で俺の肩に寄っ掛かってきたAは虚ろの瞳を瞬きさせながら｢よかった｣と小さく呟く｡
その仕草は不思議と大人びた雰囲気をまとわせていた｡
･
｢……私はカイトのようなやつと出会ったのは初めてだ｣
｢そうか｡俺もお前みたいなガキにあったのは初めてだがな｣
そう言うとキッと視線を鋭くさせ俺を睨む｡
なにかを言いたげな和か草色はへの字に曲がった口が開いた｡
･
｢私はカイトが思ってるほどガキじゃないぞ｣
･
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マッキー - 一番最初のコメあただき！！さいしんがんばってください♪ (2014年3月3日 22時) (
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作者名：月影腹痛
| 作成日時：2013年12月18日 21時
