13:ヒーローみたいで… カイトside ページ14
「しかも中に着ている服は大人から子供まで、着れる優れものなんですよ!普通の服よりも何倍も丈夫です!!」
「じゃあこれにするか」
「…ぐすっ…頼む…」
泣きじゃくってるAをあやしながら金を払うとその店を出た。
手を繋いで歩いている姿を見れば誰もが兄弟と勘違いをしている。
やっと泣き止んだAは突然、足を止めると一転をジッと見つめていた。
・
「………」
「どうした?なにか見つけたか?」
「いや…カイト。あれなんだ?ほら、あの長い布みたいなやつ」
指差した方向には選り取り緑のマフラーがずらりとならんである。
そうか…外の世界のことは知らないもんな。
伊達に3日も船の上で一緒にいたから…Aの今までの経緯等についてもある程度は知っている(歳は知らないが)。
扱いにも慣れてきた。
「マフラーって防寒具だよ。首を暖めるやつな」
「へぇ…カイトの服のやつと同じ?」
「多少は違うが…用途は同じだな」
「ふーん…」
ジッと見つめるその先にあったのは赤いマフラーだった。
大きな布を折って使うマフラーで、膝掛けにもなるもの。
・
「…ほしいか?」
「いや…」
「嘘をつくな」
思いっきり視線をそらせているし。
行動パターンが丸分かりだ。
すこししてやっと折れたAはマフラーを見つめるとやっとその口を開いた。
・
「……バレたか…本音は欲しいぞ。暖かそうだし…船乗りやヒーローみたいでかっこいいじゃないか!!」
キラキラと目を輝かせながら拳を作るこの純粋な姿は、あまり見れたものではない。
現に俺も今を含めて2回しか見たことがなかった(一回目は確か船長の帽子を被せたとき)
まあ…出来ることはしてやるつもりだからな。
・
「買ってやるぞ」
「え…っ…いいのか!?」
「あぁ、どうせ欲しいんだろ?」
「…うん」
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すこし我慢する癖があるのは仕方がない。
けど…せめて俺が面倒を見ている間だけは…。
・
「…じゃあ好きなのを選べ」
「……カイト…」
手を引いて歩ませると、Aは顔をあげるとニパリと微笑んでくれた。
「ありがとう…私は嬉しいぞ」
ギュウッと、掴んだ手を握りしめられる感覚。
案外悪くないかもしれないな。
・
…ジンさんが見たら何て言うんだろう…。
ふと思い出した師匠。
…今の状況を見て…あの人が言う言葉は…──。
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『カイト、お前ロリコンだったのか?』
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──…いや、今はジンさんのことを忘れよう。
苦笑しながら店に一歩…踏み入れた。
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ラッキーアイテム
革ベルト
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マッキー - 一番最初のコメあただき!!さいしんがんばってください♪ (2014年3月3日 22時) (レス) id: 815d3dc5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月影腹痛 | 作成日時:2013年12月18日 21時