プロローグ的なもの ページ1
nosido
それはとある雨の日の事。
その時街では強力な伝染病がはやっており、
リンもそれにかかってしまった。
その病気は徐々に自身の身体、いや、
心臓までも蝕み死に追いやるという凶悪なもの。
でも、その病気を治す手段はあったのだ。
…けれど、リンはもう手遅れだった。
「私…もうダメなのかも…」
「…!?そんな事言うな…ッ!
リン!逝かないでくれ!」
「…あはは。無理、だなぁ…
もう心臓の近くまで蝕まれちゃったんだもの。
後は余生を楽しむだけだね」
切なげにギンの頬を撫でるリンも
本当は悲しかったが、
ギンの為に精一杯笑った。
「泣かないで?
せーっかくの綺麗なお顔が残念だよ。
…あはっ、私より泣いてて情けないなぁ」
「リン…ッ」
「…もうちょっと、ギンと一緒に居たかったな。
もっとギンと甘い物を食べて、笑いあって、
時には喧嘩しあってさ…ッ」
己の身体が限界だと警報を鳴らし、
すとんと力なく腕が落ちた。
「リン…?」
「もうお終い。これで終わりなんだって、
動かなくなったこの身体が言ってるんだ」
「?…どうし、」
「また、会えたらいいなぁ…、………………」
冷たくなってくる体温と共に目が閉じられる。
息も、途切れ途切れにしか聞こえないくらい小さくなって、顔色もなんだか悪くなってきたように見える。
「リン?なぁ、どうしたんだよ、
なんで返事、してくれないの…ッ?」
「……………」
もう見られる事のないその瞳が、
ギンに死んでしまったのだという
現実を突きつけた。
少女が死んだある日。リンの墓前へと
足を運んだギンがいつも通りお参りを済ませ、
背を向けたところで。
「ちょちょギンさん!?なんで無視するの!?」
「…は…?なんでリン、お前が…」
「え〜?普通そこ喜ばない?
まぁいいや。ギン、私の足元見てみな」
リンの足元を見ると、有るはずの足が透けて空中に浮いているという事に気づいた。
「…!まさか」
「多分あってるかな?
実はこの度、幽霊になっちゃいました〜!」
「…はああぁぁぁああ!?」
「やったね!
1度は憧れるランキング上位の幽霊だよ!」
「なんでそんなに軽いんんだよ!」
「う〜ん、幽霊だから?」
「違う!確かに軽いけど!」
「まぁまぁ、別にいいじゃん。
またギンに会えたんだから私は嬉しいよ?」
「〜っ…はぁ、それは良かった」
「ねぇね!早くお家帰りましょ!
ギンの家久しぶりに見たい!」
「…しょうがないな…帰るか」
「うんうん!」
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緑蛙(プロフ) - けいっちさん» ありがとうございます!(実はあれが限界のシリアスだったとは言えない…)というかけいっちさんの作品よく見てますけどそちらの方が素晴らしいですよ! (2020年1月14日 19時) (レス) id: af2916f373 (このIDを非表示/違反報告)
けいっち - 新作の奴とかあんま見ないけど気になって見て見たら知ってる人の合作だった(二度見した)プロローグ的なのから面白そうやないっすか応援してます! (2020年1月14日 19時) (レス) id: 837672cd32 (このIDを非表示/違反報告)
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