夢主あるある(たらし) ページ9
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夏油の野郎に蕎麦を奢られた。任務帰りに。
うん、うまいぜ。めっちゃうまいぜ、名店だもんな。ただな、ただな。
絶対こいつ何か企んでるよな……? いやそれしか考えられねーんだけど。
「休憩がてら帰りに蕎麦屋によりませんか? 奢りますよ」だってよ。
最初は奢ってもらえるって知って心の中でガッツポーズをした。しかも名店のお高い所の蕎麦。思わずうぇいってなっちゃったようん。
でも俺はそんな単純な男じゃない。一応心理学部に所属している大学生だ。どこぞの末期型鈍感主人公とは違う。
この胡散臭い笑み、自然過ぎて逆に不自然に感じる今に至るまでの流れ、いつにも増して優しい態度。
とりあえず「蕎麦ですか、最近食べていなかったのでお言葉に甘えましょうか」と返したが、今ではそんな返事をしちまった過去の自分をぶん殴ってやりたいと思っている。
俺は現在、顔には出さずとも十分に警戒しながら夏油と向き合う形で蕎麦を食べていた。顔は見ないようにしている。蕎麦を啜るだけでイケメンで腹立つから。
「美味しいでしょう?」
美味しいぜ。ただ、お前がいるせいでこちとら滅茶苦茶気ぃ使ってんだ。逆に疲れるんだよ。
しかし、そんなこと口にするわけもなく「はい、とても」と愛想笑い。俺の表情筋はニコニコ笑顔を保っている。
すると、夏油が何故だか知らんが突然蕎麦を食べる手を止めた。
一瞬だけ「ん?」となったが、麺がのびると困るので自分は気にせず食べすすめた。
「貴方は、何故補助監督になったんですか」
突然の質問。今度こそ箸を止めざるを得なかった。
え、補助監督になった理由? いきなりそんなこと聞きます?
まさか、俺と飯食うこの時間が気まずくて無理やり話題作ったとか? いや、お前から誘ったくせにそりゃねーわぁ。
だが、生意気をきけるぐらいの勇気があるはずもなく、言いたかったことは留めて夏油の質問に答える。
「俺に呪霊を見る力があると知った補助監督の方にバイトとして紹介されて今に至ります」
そう包み隠さず正直に言えば、少し疑いの目も向けられたものの「期待外れだった」と言わんばかりに小さく笑われた。なんだこいつ。
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ガシヤマ(プロフ) - 蘆花さん» コメントありがとうございます! 蘆花さんの作品は楽しく読ませていただいています……! 夢主君を気に入っていただけて嬉しいです。 (3月31日 18時) (レス) @page7 id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - やだすきなにこの夢主くん。あるあるが全て詰め込まれてて最高です! (3月31日 18時) (レス) @page11 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - サンドレラ2世さん» コメントありがとうございます! 文句言いながらもやる時はやってくれる夢主君ってかっこいいですよね、私も大好きです。 (3月11日 21時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
サンドレラ2世 - 夢主かっけぇぇ! (3月11日 21時) (レス) id: 0ee11eb3e3 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - 星雀さん» コメントありがとうございます! うまく完結できるようストーリー構成はこだわったので嬉しいです。 (2月8日 21時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ x他1人 | 作成日時:2024年1月7日 17時