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モブの逆襲3 ページ20

「なあ、補助監督……」

 星漿体がおそるおそる話しかけてくる。黙って走れっつってんのにしつけー奴。
 体力もやばくなってきてるし無視したいところだが、それをする体力さえも残っていない。走っているので限界だ。
 仕方ないから一回だけ聞いといてやる。

「んだよ」

 いつもじゃ考えられないような不愛想な表情と声で返事をする。
 しょーもねー質問だったら招致しねーからな。

「……お前の術式を使えばこんな風に走って逃げる必要ないんじゃないか?」

 ぜっつみょ〜にしょーもないことを聞いてくるな、ホント。

 まあ、確かにコイツが言った通り俺の術式を使った状態であればこんな風に走って逃げる必要はない。なんせ、全てすり抜けるのだから。

 しかし、だからといって己の術式を過信しすぎてはいけない。実質オッサンはあの五条悟を殺したと明言していた。本当かどうかは知らないが、五条悟と太刀打ちできる力を持っていることは確か。
 五条は無下限呪術とかいうどんな攻撃をも防ぐバリア的な術式を有している。そんなアイツの術式を前にあの男はどのようにして対抗したのか。

 いくら呪力0のフィジカルギフテッドとして強靭な肉体と戦闘能力を得たとて、無下限呪術を前にしてはその強力な拳も脚も五条の身体にすら届かない。そうだとしたら、考えられることは一つ。

「……あのオッサンが持っている武器は、術式を無効化できるチートなアレかもしれん」

「無効化!?」

 だってそれしか考えられねーだろ、その方法でしか俺はアイツを殺せる方法が思い浮かばん。というか、逆に他の方法を聞いてみたいものだね。

「確証はない。だが、楽観視するより警戒しといた方が身のためだ。
 ほら、目的地にはなんとか到着したことだし早くエレベーターに――」

 探偵まがいの推理で無駄話をしていればいつの間にかエレベーターはすぐそこに。俺は星漿体を力強く押し込んで中に入るよう急かす。

 しかし、その際俺の頬には何かが掠り、すぐ近くでドスンという音がした。星漿体は無傷のようで安心したが、流石に肝が冷えた。

「はは……な、言ったろ?
 楽観視するより警戒してた方が身のためだって」

 ツウ、と頬を伝う生暖かいものが先ほどの俺の推理を証明している。当然のことながら術式はまだ解除していない。

 深々と壁に刺さっていたオッサンの武器を横目にエレベーターの扉を閉める。
 扉が閉まる直前、オッサンの苦い顔が視界に映る。

 ザマァ。

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ガシヤマ(プロフ) - 蘆花さん» コメントありがとうございます! 蘆花さんの作品は楽しく読ませていただいています……! 夢主君を気に入っていただけて嬉しいです。 (3月31日 18時) (レス) @page7 id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - やだすきなにこの夢主くん。あるあるが全て詰め込まれてて最高です! (3月31日 18時) (レス) @page11 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - サンドレラ2世さん» コメントありがとうございます! 文句言いながらもやる時はやってくれる夢主君ってかっこいいですよね、私も大好きです。 (3月11日 21時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
サンドレラ2世 - 夢主かっけぇぇ! (3月11日 21時) (レス) id: 0ee11eb3e3 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ(プロフ) - 星雀さん» コメントありがとうございます! うまく完結できるようストーリー構成はこだわったので嬉しいです。 (2月8日 21時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ガシヤマ x他1人 | 作成日時:2024年1月7日 17時

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