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夏休みなんてあっという間。お金が溜まるのもあっという間。溜まったお金で家政婦を雇うまでにそうは時間もかからなかった。
しかし、契約期間もそこまで長くもない。正直、「あれだけ働いてこの程度か」と思う。それなりに部屋も片付いたし、しばらく家事一つせず過ごせたものの、本当に一瞬の間だけ。契約期間が終了すればまた元の生活に戻った。
だらしなく、自堕落な毎日。一度贅沢を知ってしまったが故にあの夢のような生活が恋しくなってくる。
また課題を失くすようになったし、見つかったはずの大事にしていたビー玉も失くしてしまった。ここまで失くすと本当に大事にしているかわからなくなるが。
ああ、これではダメだ。そう思って春休みにもう一度あのバイトをしてみようかとも考えたが、丁度その頃日本各地で災害が頻発して呪霊が凶暴化しているとかで春の補助監督バイトは諦めた。我が身はかわいいので。
しかし、夏頃になると呪霊の量も落ち着いてきて今度こそ九月から補助監督バイトを再開。家政婦雇えるぐらい稼ごう計画が再び実行された。
そんなこんなで始めた補助監督バイト、あの日から一年の月日が流れて当時高専の二年生であった彼らはもう三年生。さて久しぶりに会う彼らはどうなっているだろうと三年の教室の扉を開ける。
「あ、五条の初恋」
そこにいたのは懐かしの家入呪術師。相も変わらず堂々と未成年喫煙をしている姿を見て「変わってないな」と思った。彼女は手に持っている煙草を隠す素振りも見せず、呑気にひらひら手を振っている。
「今日は家入呪術師一人なんですね、五条呪術師はいかがなさいました」
「ここ一週間は北海道に出張任務でしばらくいないよ。おかげでここ最近は静かでいいね」煙草の白い煙が吐き出される。
「五条呪術師は大丈夫そうですか」
すると彼女は「大丈夫だろ、案外タフだし」と本当にどうでもよさげに応える。
今日までに彼の身の周りで何が起こったのかは小耳に程度に挟んでいる。
後輩の死と、親友の裏切り。それ故に最近の彼の機嫌は今世紀最大に悪いのだとか。なんともタイミングの悪い期間に復帰してしまったものだ。
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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時