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「あれから五条呪術師の様子はどうですか」
「わかりやすく落ち込んでいるよ、カレンダーを見る度に溜息をついていた。こちらとしては滑稽で仕方ないけどね」
任務先に向かっている最中の車の中、今回担当となった夏油呪術師とそんな他愛もない会話を交わす。夏油呪術師から聞く限り、私の夏で辞めます宣言騒動以来五条呪術師は相当なショックを受けてかなり落ち込んでいるようだ。よっぽど私のことが好きだったんだろう、なんだか可哀そうになってこないこともない。
可哀そう、というよりも面白いという気持ちの方が強いかもしれない。それを伝えると「案外薄情な人なんですね」と苦笑された。自分の薄情さには定評がある。
「……でも、貴方には色々と感謝しています」夏油呪術師はゆるりと柔らかい笑みを浮かべる。「アイツ、誰彼かまわず偉そうな態度をとりがちだから、こういう風に仲良くしてくれている補助監督も少ないんです」
「私は仲良くしているつもりはなかったんですけれど」
「ふふ、それ絶対本人に言わないであげてくださいね」
確かに初めて会った時の彼に対する第一印象はそこまで良いものではなかった。私たちのような所謂弱者に向けられた容赦の無いあの悪意マシマシのツンツンぶりには反抗期真っ只中の高校生を彷彿とさせた。
彼の性格の悪さが理由で補助監督の間でも圧倒的不人気率をほこり、被害に遭った補助監督たちは口を揃えて「これだから御三家の人間は」と溜息をついていた。そこまで言うなら御三家とやらに教育方針の改善なりなんなりを抗議文にまとめて送りつけでもすればいいのにと思ったが流石に口には出さなかった。
「私が彼の心の成長に少しでも役に立っているのであれば嬉しい限りですね」
「本心ですか」
「それを聞くのは野暮ですよ」
すると夏油呪術師は「確かにそうですね」と眉を下げながらケラケラ笑う。最近は仕事詰めで疲れているだろうに、元気な人だ。
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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時