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「それ、誰から貰ったの?」
「補助監督だよ。顔目当ての尻軽共からのね」
「既婚者だろ? いいのかい、そんなに貰って」
「どうせアイツは何も思わないよ、そういう奴だし。
今年も貰えないんだろうなー、はあ。とっても期待してるのになー!」
……わざとらしい。
五条呪術師が役者を目指し始めたらきっと美味しい大根になれるのだろうな。おでんの具にでもなればいいと思う。
それにしても、私がいると分かったうえでのあの発言、恥ずかしくないのだろうか。若気の至りというには少々無理のある歳だ。
どれだけ私のチョコが欲しいのだろう、少し心配になってくる。そして呆れる。
このまま職員室に入って素直にチョコを渡すべきなのだろうが、どうにも面倒な事になる予感がする。
きっと調子に乗るんだろうなあ。調子に乗ってベタベタしてくるんだろうなあ。
……面倒臭いので帰りましょう。
溜息を吐きながら踵を返す。
後で文句を言ってきそうだがその時はその時だ。彼は私には特段甘いのでなんとかなるだろう。
「ねえ、そんな意地悪しなくてもいいんじゃない?」
そんな声と共に後ろから抱きしめられる。
どっちにしろ面倒臭いことには変わりないらしい。結婚したが運の尽きというものか。
「僕のために作ってくれたの? ソレ」
「自分用に作りました」
「拗ねんなよ、僕がモテモテだからって」
「拗ねてません」
スルリとチョコの入った箱に手が伸びる。耳元で「嬉しいなあ、愛しい妻からのバレンタインチョコだなんて」とねっとりとした声が聞こえてくる。世の女性はこれでイチコロなのだろうな。
「これで満足ですか、五条呪術師」
「なに、その仕方なくやってあげた感」
「実際仕方なくやっているので」
「かわいくない」
「それで結構です」
身体に巻きついた二つの腕を外して、拗ねてしまった旦那の顔に目をやる。良い歳をした大人が頬を膨らませている。
作ってあげただけでも感謝してほしい。結構大変だったのに。
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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時