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灰色で、水墨画みたいにボンヤリ滲んでいた世界からハッキリとした世界へと移り変わる。
声がした方向へと目を向ければ、そこには我が夫、五条呪術師の姿があった。彼は私の手を優しく握り、「大丈夫?」ともう一度問うた。
咄嗟に「問題ないです」と答えた。
すると彼はまだ何か言いたげだったものの「そう」と背を向ける。
夏油呪術師は「いきなりなんなんだアイツ……」と怪訝そうな顔をしていた。私も同じことを思った。突然現れたかと思えば、急に変なことを聞いてきて。
ああ、相変わらず彼の考えていることはよく分からないな、と思った。
でも、でも——————
「五条、呪術師……」
気づいた時には彼の服の端を掴み、引き留めていた。
目隠しをしていて表情は読み取れないものの、驚いているということはわかった。私も驚いていた。何故こんなことをしてしまったのか、自分でもよく分からなかった。
我に返ってゆっくり手を離す。
「…………柄にもなく、離れてほしくないと思ってしまいました。
すみませんでした」
正直に述べた。
思ったことを素直にそのまま口にすると、大抵五条呪術師は子供みたいに頬を膨らませて拗ねる。そのまま一週間ぐらいは手がつけられなくなる。
けれども今日の五条呪術師は酷く満足げな顔をして、力強く私を抱きしめた。何故だかとても、嬉しそうだ。
「かわいいなあ、お前は」
心底愛おしそうにそんなことを呟く五条呪術師。
今の何がかわいかったのだろう。
五条呪術師のかわいい、はよく分からない
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今回もダシにされた夏油君でした。
ちょっとシリーズ化しそうです。
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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時