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「君はもう少し賢い人間だと思っていたんだけれども、どうやら違ったようだね」
術式により現れた蛇の呪霊を彼女の足元に巻き付ける。
「生きては帰れないよ、君」
此処を知ったからには、生きて帰すわけにはいかない。縛りを持ちかけられようが関係ない。
この女を舐めてかかってはいけない、自分の第六感がそう言っていた。
生きるチャンスを、与えることはできなかった。
「悲しいよ」
呪霊はにょろりにょろりと彼女の身体に長いカラダを巻き付けていく。ゆっくりと、確実に、彼女は身動き一つできなくなる。しかし、彼女は抵抗一つ見せる様子はなく、慌てることもなく、いつものポーカーフェイスを保っていた。
「最期の最期まで気味の悪い人だ」
パチンと指を鳴らして合図を送る。同時に目の前でボキボキ激しく骨が折れる音が聞こえる。彼女の身体がどんどんあらぬ方向へと歪んでいく。悟が知ったら怒るだろうな、なんて呑気なことを思いながら立ち上がる。
パチン、と再び指を鳴らして合図を送ると呪霊の姿は煙のごとく静かに消えた。そこに残ったのは骨が突き出て血まみれになった無残な女の死体だけ。部屋を出るため扉に足先を向ける。
「……待って、くだ、さい」
後ろから聞くに堪えない弱々しい声が聞こえてくる。即死できなかったとは、可哀想に。
ズリ、ズリ、と身体を引きずる音が聞こえる。執念深いものだ、と後ろを振り向く。
「…………執念深いにも、程があるよ」
いつの間にか彼女は私の服の袖を掴み、ジンワリと血を染み込ませていた。震えているし、振り払えば一瞬でどうにかなりそうだ。
「立っているのも辛いでしょ」
彼女の頬にソッと手を添える。
「締め上げられた弾みで内臓にも傷がいっているはずだ、無理をしない方がいい」
「戻ってきてください」
「ほら、口から血が垂れている。喋るのも辛いだろう」
あそこまで致命傷を負わされて、まだ動き、まだ喋るか。しつこい女だ。
「ごめんね、すぐ楽にしてあげる」
鋭い牙を持った呪霊が大きく口を開け、彼女の頭から丸のみにし、噛み砕く。今度は確実に死ねるはずだ。
バキバキと頭が噛み砕かれる音がする。呪霊の口は彼女の血で真っ赤に汚れていた。
ようやく終わった、最初からこうすればよかった。本当に可哀そうなことをしたよ。
残った胴体だけの死体を見てフンと鼻を鳴らした。
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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時