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「こんにちは、夏油呪術師。お会いできて嬉しいです」

 見覚えのある顔の女がそこにいた。表情一つ変えず、平然と。
 こんな形でまた会うことになるとは思わなかった。
 悟の初恋の補助監督。平凡な顔つきの、どこにでもいそうな地味な女。当時、こんな普通の女の子に思いを寄せていた悟があまりにも面白くて、滑稽で。よくそのことで硝子と一緒に笑っていたのを今でも覚えている。
 悟からどんな幼稚な悪戯をしかけられようと彼女は平然と、それでもって堂々と受けていた。一見大人しそうな人だったが、とても強かな人だった。そんな彼女の強さに悟は惹かれたのかもしれない。
 しかし、今はそんな顔色一つ変えず、静かに私を見つめ続けている彼女が気味が悪くて仕方がなかった。
 何故此処がバレた? 何時? どうやって? 誰が関わっている? 何故彼女が?
 動揺している私と違い、彼女は依然冷静さを保ちながら「高専関係者には言ってませんから安心してください」とまるで私の考えていたことを見据えていたかのような発言をする。更に気味が悪くなった。

「……どうやって此処が?」

「ありとあらゆる手を使って地道に調べていったというだけです。こう見えて調べものは得意でして」

 執念深いにも程がある。高専側も見つけられなかったというのに、どんな手を使ったら此処まで辿り着けるというのだ。
 目の前の彼女に対して若干の恐怖を覚えながらも相手に感情を悟られぬように笑顔を張り付けて「それはそれは、ご苦労だったね」と平然を装う。すると彼女は「はい、バイトも放り出して一週間程調べ続けていたので」と肩をグルグル回していた。一週間という短い期間で探し出すとは、一周回って感心する。

「今日は夏油呪術師にお願いがあって来ました」

 何を考えているのかさっぱりわからない顔は一年前と全く変わらない。

「夏油呪術師」

「その呼び方で呼ばれる資格は今の私にはないよ」

「では、夏油呪詛師」

 呼び方を改めた後、彼女はゆっくりと頭を下げた。

「高専に、戻ってきてください」

 沈黙が流れる。本当にこの場に二人も人間がいるのかと疑いたくなる程の静けさがそこにはあった。そんな中で私は一人、静かに呆れていた。
 彼女はそんなことを頼むため、無謀にもこんな危険な地に足を踏み入れたのか、と。当然ながら沈黙を断ち切ったのは私の方だ。

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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時

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