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「私は、貴方が変わってしまうのが嫌らしい」
彼の手を強く、離れないように、しっかりと握る。
最初は大人に成長したんだなと思った。悪戯をしない、ふざけない、優しい口調の五条呪術師に。でも、私はそれが五条呪術師とは思えなかった。そこから成長というものは何か、疑問に思った。
そして考えているうちに気がついた。
彼は成長なんてしていない、変わっただけだ。変わらないといけなかった。そうしなければ『最強の五条悟』という自分を保てなくなるから。
その苦しそうな顔が、そう語っていた。
疑問は払拭された。しかし依然残る疑問。
何故、自分は彼が変わることに対してこんなにも抵抗があるのか。他人の変化を寂しく思ってしまうのか。
極端に言えば、可愛がっていたヒヨコが鶏となってしまったような喪失感。
もう彼は悪戯もせず、ふざけもせず、汚い言葉も吐かない。私は彼に、子供であってほしかったのだろうか。
――否、違う。
私は、彼が五条悟のまま成長していくことを知らず知らずのうちに望んでいたのだ。
悪戯をしない五条悟は五条悟じゃないというわけではない。ただ私は、本当の自分を捻じ曲げてまで周囲の理想に合わせてほしくなかったのだ。
私は、あの時の彼の個性に惹かれていたのだと思う。
「五条呪術師」
今にも泣きそうな顔をしている彼に言う。
「まだ、変わらないでほしい」
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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時