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「どうも、お久しぶりです」

 ガラリと教室の扉を開けると、そこには久しく見ていなかった彼の姿。サングラスの下からチラリと覗く青い瞳は相変わらず綺麗なものだった。
 彼はニヘラと笑って「久しぶり」と返した。
 キョロキョロ辺りを見渡すが教室には何の異変もない。そのまま教室に足を踏み入れるが、水がかかることもワックスで滑ることも床が抜け落ちることもない。
 おかしいな、と思いながらも彼に近づく。

「ふは、警戒しすぎ」

「今日はいつもの悪戯は無い感じですか」

「僕はもう子供じゃないんだよ」そう言って舌を出す五条呪術師。

 以前とは違って優しい口調になった。なんというか、彼が言うように本当に子どもじゃなくなったんだな、と思う。一人称も柔らかくなった。五条呪術師が「僕」だなんて、なんだか変な感じだ。悪戯も無いし少し残念に思う。折角替えの服を用意していたというのに。

「変わりましたね、五条呪術師」

 率直に思ったことを口にする。本当に変わったな、家入呪術師とは大違いだ。目の前にいる五条呪術師が本当に五条呪術師か疑いたくなる程だ。
 やはり彼の身近で起きたあの二つの事件が彼をこのように成長させた……いや、成長?

 ……思ったが、この変化は成長といえるものなのだろうか。
 彼は強くなった。大人になった。常識を知った。だが、これで本当に良かったのだろうかと妙に納得ができない自分がいる。これが、あるべき結果だったのだろうか。
 夜蛾呪術師は本当にこれを望んでいたのだろうか。この結果を望みながら彼をここまで育てていたのだろうか。
 悪戯をしない、ふざけない、優しい口調の――
 ……これは、五条呪術師なのか?

「どうしたの、ボーッとしちゃって」

「……なんでもないです」

「そっか。
 ならちょっと聞いてほしいんだけどさ」そう言って私の手を握る。

「君、僕専属の補助監督にならない? 僕の担当になる補助監督って結構危険な目に遭ったりするんだけど、君なら――」

「五条呪術師」

 気づいた時には彼の言葉を遮って声を発していた。彼は目を細めて「どうしたの」と優しい笑みを浮かべる。
 しかし、その笑みが心を強く締め付ける。
 ああ、私はこの表情を見たことがある。一年前、車の中で。

 五条呪術師の顔が、あの日の彼の表情と重なった。

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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時

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