離反した夏油を連れ戻そうとしたら二年かかって五条悟にマジギレされた補助監督（バイト）の話

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「家政婦、雇ってみてもいいかもしれない」

　一畳半の部屋に置かれたパンパンに膨らんだいくつものゴミ袋、無造作に散らばる服や本、部屋の隅に張られた蜘蛛の巣。そんな部屋で昨日は大学の課題を失くしてしまった。あと結構大事にしていたビー玉。
　料理、洗濯、裁縫。昔からそういった生活スキルがてんでダメだった私がまともに一人暮らしなんて到底できるはずもなく、現在こうして典型的なゴミ屋敷で毎日を過ごしている。何故一人暮らしを考えた時点でこの最大の問題に気付かなかったのか不思議で仕方ない。これに関しては「やってしまった」の一言に尽きる。無計画にも程があり我ながら呆れる。
　そんなダメダメな毎日を過ごしていたらいつの間にか夏休みに入ってしまっていた。旅行の予定なんてないし実家に帰る気もない。友達と遊ぶ予定も当然ない。困ったものだ。
　溜息をつきながらゴミ袋の上にダイブする。こういう不衛生な生活を続けているとこんなことも平気でやれる。案外面白いぞ。
　微かにゴミ袋から香るカップラーメンの匂いを感じながらゆっくりと目を閉じる。
　ああ、今年の夏休みはどう過ごそうか……。

　その時、カサリと自分の手に一枚の紙が触れた。失くした課題かと思って勢いよく顔を上げて紙を手に取る。だが残念ながら探していた課題ではなく肩を落とす。どうやら実家からの仕送りのダンボールと共に送られてきたものらしい。紙には『おすすめのバイト』と書かれた付箋が貼られている。

「……バイトやるか」

　目標は家政婦を雇えるぐらい、かな。

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