【鬼滅の刃】始祖と鬼狩り〜伍〜

鬼狩り２０９ ページ9

〜童磨サイド〜



無一郎「霞の呼吸＿＿＿肆ノ型・移流斬り」


いつのまに距離を詰めたのか、鬼狩りは呼吸で俺の頸目がけて刀を振るっていた。


童磨「！！」


鋒が頸を掠めて、血が噴き出る。


油断したとはいえ、今の動きは見事なものだった。こうしている間にも肺が少しずつ壊死しているはずなのに。


いくら歴戦の柱でも、呼吸に必要な肺の機能を奪われたら無力も同然。


しかし彼からは、その不利さえも覆すかのような勢いを感じた。


俺は驚きと同時に感動した。


だってそうでしょ？


無駄なのにどこまでも足掻く人間の愚かしさ、儚さ。なんて哀れだろう。


それなら俺だって、ちゃんと応えてあげなきゃね。


元々、この子には何の興味も無かったし何の用事も無かったけどさ。


童磨「決めた！ “あの子”に会う前に、君のことをささっと救ってあげよう！」


俺はそう言って扇を開く。


童磨「血鬼術・枯園垂り」


鬼狩りの体を斬り裂くべく、冷気を纏った扇を近距離から連続で振る。


無一郎「霞の呼吸＿＿＿弐ノ型・八重霞」


鬼狩りが体幹を捻り、幾重もの斬撃を繰り出す。


確かに当たった……けど、向こうも俺の攻撃を掠めて肩に傷を負った。


それでも鬼狩りは動きを止めない。あれだけの出血、人間ならば死ぬのは時間の問題。



無一郎「霞の呼吸＿＿＿漆ノ型・朧」



まだやるのか。しぶといけど楽しいね！


童磨「……ん？」


鬼狩りの姿が消えた……今扇を振ったはずなのに。


童磨「血鬼術・散り蓮華」


氷を大量に作り出し、広範囲へと放つ。しかし鬼狩りの姿はまたしても消えてしまった。


現れたと思ったら消え、違う場所に出現したと思うと再び消える。


姿を見せる時は亀のように遅いのに、姿を消すのは一瞬だ。独特の緩急で、動きが読みづらい。


まるで霞に巻かれているような錯覚に陥る。


初めて見る技。少なくとも、俺が今まで目にした霞の呼吸の使い手は誰もこんな技を使わなかった。




そして次の瞬間＿＿＿＿＿＿






鬼狩りの刀が、再び俺の頸を捉えていた。

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