鬼狩り205 ページ5
〜無一郎サイド〜
高速の連撃を繰り出し、氷の蔓を粉砕する。
そして、今にも少女を殺そうとしていた氷像の体も一緒に砕いた。
少女は青ざめた顔で僕を見ている。僕が血だらけで刀を持っているから。
無一郎「逃げて。僕は大丈夫」
少女は躊躇いつつも、背を向けて階段を下りて行った。
思い出した。思い出したよA。
僕の父は杣人だった。息子である僕も、木を切る手伝いをしていた。
母さんは、風邪をこじらせ肺炎になって死んだ。
嵐の日だった。薬草を採りに出て行った父は、崖から落ちて死んだ。
両親が死んだのは10歳の時だ。10歳で僕は一人になった。
………いや、違う。
一人になったのは_____11歳の時だ。
僕は双子だった。兄の名前は有一郎。
言葉のきつい人だった。記憶のない時の僕は兄に似ていた気がする。
誰かのために何かをしてもろくなことにならないと主張し、死んだ父や母に対しても冷たかった。
母さんは家族のために無理をして風邪をこじらせてしまったし、父さんは母さんのために薬草を採りに行って崖から落ちてしまったから。
有一郎『嵐の中を外に出なけりゃ、死んだのは母さん一人で済んだのに』
無一郎『そんな言い方するなよ!! あんまりだよ!!』
有一郎『俺は事実しか言ってない』
僕は兄に嫌われてると思っていたし、兄を冷たい人だと思っていた。
有一郎『無一郎の無は“無能”の“無”』
そんな兄と二人の暮らしは、息が詰まるようだった。
春頃のある日、お館様の御内儀のあまね様が訪ねてきた。そして、僕たちは剣士の子孫だと教えてくれた。
兄はあまね様に暴言を吐いて追い出した。
剣士になって鬼から人を守ろうと提案する僕にも、暴言を吐いた。
有一郎『人を助けるなんてことはな、選ばれた人間にしかできないんだ!!
先祖が剣士だったからって、子供の俺たちに何ができる!?
教えてやろうか? 俺たちにできること!
犬死にと無駄死にだよ!! 父さんと母さんの子供だからな!!』
それから僕たちは……口を利かなくなった。
ずっと家へ通ってくれるあまね様に兄が水を浴びせかけた時だけ一度、喧嘩をしたきり。
やがて夏になった。その年は凄く暑かった。
僕たちはずっと苛々していた。夜も暑くて蝉も鳴いてて。
戸を開けて寝ていたら_____鬼が入ってきた。
そして、有一郎が目の前で襲われた。
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サリア(プロフ) - さんいちがさん» ありがとうございます!続編でも頑張ります!本誌の無惨が癒しだって?そんなことに!?気になるので読みますね!笑 (2020年4月30日 20時) (レス) id: 05b07eff83 (このIDを非表示/違反報告)
さんいちが - ネタバレ注意。本誌の無惨が孫にひっついてるみたいで癒されますよ!!!!サリア様も見てみてください!!! (2020年4月29日 22時) (レス) id: d344c61285 (このIDを非表示/違反報告)
さんいちが - サリアさん» 最新話見ました!!!たんじろーsideですねフムフム!!これからどうなっちゃうんだろ!!こっち(小説)もあっち(本誌)も!!!気になる!!!!!! (2020年4月29日 22時) (レス) id: d344c61285 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - さんいちがさん» 夢主の介入によって、話の展開は変わってくると思います!楽しみにしてくださって嬉しいです!今の所正体を知るのは無一郎だけですが、どうなるでしょう?( ̄∀ ̄) (2020年4月29日 21時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
さんいちが - サリアさん» うおおおおおお!!!原作と違うだとおおおおお!!!!想像できないっ!!!!!楽しみ!!!!あと最新話見ました!!!夢主ついに……バレたらバレたで、面白くなりそう!!!だって!!!!!サリア様だから!!!! (2020年4月29日 12時) (レス) id: d344c61285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サリア | 作成日時:2020年4月5日 15時