鬼狩り39 ページ39
〜貴方サイド〜
貴方「は、はい。えっと……」
言い淀む私に、しのぶさんはさらに続けた。
しのぶ「あの町での戦闘で生き残ったのは、私の姉……胡蝶カナエと、あなただけです。
姉は重傷を負っていて、まだ目を覚ましていません。話を聞けるのはあなたしかいないんです」
胡蝶……そうだ花柱の! この人、柱の妹!?
私しか話を聞ける人がいないってことは、町で倒れていた人たちはみんな死んでしまったのか……。
たとえ鍛え抜かれた鬼殺の剣士でも、鬼狩りはいつだって命懸け。
それを再認識すると同時に、遣る瀬無い気持ちになる。
しのぶ「しかもあなたは、傷ひとつ見当たらない無傷の状態で倒れていました。
一体何があって気を失ったのか、町はどういう状況だったのか……聞かせてもらえませんか?」
貴方「私、その……ごめんなさい!」
私はしのぶさんに頭を下げた。
姉を傷つけられた怒り、悔しさ、そして一刻も早く敵の情報を手に入れたい____そんな気持ちが伝わってくる。
だからこそ、申し訳なさからこうすることしかできない。
貴方「気を失う前後の記憶が曖昧で………
お役に立てるような話は、できないかもしれません」
そう謝罪すると、しのぶさんはゆっくりと首を横に振った。
しのぶ「覚えている範囲でいいんです。それに、まったく覚えていないのであれば無理に話せとは言いません」
貴方「いえ、まったくというわけでは……
任務終わりに、鎹鴉から南西の町で鬼殺隊が鬼と戦っているから援護するようにと、司令が伝えられました。
私が町に着いた時には、大勢の隊士たちが倒れていてとても酷い状況で……
鬼を探していたら、町の外れに____女性の姿と、対峙する鬼がいました。
加勢せねばと思ったんですが、そこで意識が……気づいたら蝶屋敷にいたんです」
ありのままのことを正直に話す。
しのぶさんは黙ってそれを聞いていた。
貴方「鬼の詳細は、遠目ではわかりませんでした。
どんな状況だったか、他に鬼や人はいたのか、それすらも覚えていなくて……
でも、空気が凍てつくように冷たかったのは感覚として覚えています」
しのぶ「なるほど……凍てつくような冷たさ、か」
私の話を聞き終えたしのぶさんは、考え込む仕草をしつつ、何かに気づいたような声で呟く。
そして視線を私へと戻した。
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サリア(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(´∀`*) 更新頑張ります! (2020年3月2日 11時) (レス) id: 5231526d40 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - この作品超好きです!!更新頑張って下さい! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 45b1b66d37 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - ふ ろ ふ き 大 根さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります!(*´∇`*) (2020年2月28日 19時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
ふ ろ ふ き 大 根(プロフ) - ストーリーめっちゃ好きです!!続き楽しみにしてます( ・∇・)更新がんばってください!! (2020年2月28日 16時) (レス) id: cfd0445662 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!神作品だなんて…嬉しいです(´∀`*) 更新頑張ります! (2020年2月27日 23時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サリア | 作成日時:2020年2月26日 15時