【イナGO】魔法少年少女の戦い (ページ9)

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雷門の行方不明者ページ9

～貴方side～

貴方「松風天馬くんが……行方不明！？」

稲妻町。行方不明者。

昨日真子から聞いた“噂”を思い出し、無意識に震える。

稲妻町で続出する行方不明者。魔人が関わっているかもしれないと聞きながらも、どこか他人事のように感じていた。

自分の住む地域で起こっている話ではなかったから。対岸の火事というやつだ。

今回私が稲妻町へ向かおうと思っていた理由だって、行方不明事件の方ではなく、自分の願い事に関する記憶を失った魔法少年に会いたいという目的のため。

しかし松風くんがその事件に巻き込まれているかもしれないとなった瞬間、稲妻町で起こっている事件が一気に身近なものに感じてくる。

私は松風くんのファンだった。

マネージャーとしてサッカー界に関わり始めた途端に突きつけられた現実。サッカーが好きだった私は、フィフスセクターの支配とそのやり方が気に入らなくて、忌々しいとさえ思っていた。

そんな中ホーリーロードの地区予選に現れた、雷門中サッカー部一年生の松風くん。

フィフスセクターのやり方に真っ向から反発し“本当のサッカー”を貫こうとする彼の姿は、とても輝いて見えた。憧れさえ抱いた。

だから天河原中が負けてからも、ずっと松風くんとその仲間を応援し続けてきた。

その彼が、行方不明だなんて……！！

もし、………もし魔人の結界に呑まれて………

そのまま魔人の餌食になってしまったとしたら……！！考えただけでもおぞましい！！

貴方「まだ、見つかってないってこと！？」

喜多「ああ。だからとても心配で。彼だけでなく、元雷門中サッカー部のFWである南沢篤志も行方不明になっているという話も聞いた」

南沢篤志といえば、彼は確か……？

貴方「三年生の？でもその人って、転校して月山国光に通ってるんじゃなかった？」

私がふと思ったことを呟くと、喜多くんは頷く。

喜多「雷門サッカー部も最初は内輪揉めがあったみたいで、その過程で南沢篤志は雷門を去った。

だが雷門と月山国光の試合で和解したらしい。学校は違っても時々交流をしていたそうだ」

貴方「そうなんだ……」

雷門サッカー部の関係者が、立て続けに2人も行方を眩ませている。

この事態を、他の雷門サッカー部の仲間はどう受け止めているのだろう。

私に何か、できることがあればいいのに。

……ダメだ。考えても仕方がない。

私は私の目的を果たしに、稲妻町へ向かおう。