条件と協力 ページ32
〜浜野side〜
俺が思い切って提案すると、案の定Aはパッと表情を明るくし、神童は反対に顔を顰めた。
貴方「い、いいの！？」
神童「俺は反対だ。お前はAが死んでもいいのか？」
神童の咎めるような口調に、俺はやっぱりね〜と頭を掻く。
Aは霧野を助けてくれた恩人……その人を危険に晒すのは、確かに嫌だ。俺も神童も。
けれど当の本人が、力になりたいと言っている。
それを聞いて、俺はなんだかAの意思を尊重してみたくなった。
浜野「俺だってAには稲妻町に関わらないで、これまで通り舟ヶ丘市で暮らしてほしいよ。
でもAがどうしても望むなら、それを止める権利は俺たちには無いんじゃないかなって思って。
もちろんリスクは承知の上で、な」
神童「つまり、自己責任が伴うと」
浜野「ま〜冷たい言い方になっちゃうけどね。元々魔法少女なんて命懸けだし、いつ死ぬかわかんない仕事っしょ？
けどもちろん、神童の言い分ももっともだ。この町は今かなり危険。
魔人が強いだけでなく、何かが動いている気配がする。
だから、稲妻町で行動するにあたって条件をつける」
神童「なるほど……それならいいかもしれないな」
Aは黙って俺たちの会話を聞いている。
浜野「この町で行動する時は、現地の魔法少年か魔法少女と行動を共にすること。
一人で魔人狩りなんかしたら多分Aだけじゃ難しいし、何よりまたあいつと揉めることになる」
神童「狩屋か」
さっきはあの程度で済んだが、今度はそうもいかなくなるかもしれない。
最悪、喧嘩勃発なんてこともあり得るだろう。
するとAは、恐る恐るといった感じで口を開いた。
貴方「それなら私、神童くんと浜野くんと一緒に行動してもいい？ 2人が迷惑じゃないなら、の話だけど……」
浜野「俺は全然いーよ。神童は？」
神童「ああ、俺も構わない」
記憶の件もある。情報を得るためにも、むしろ3人で行動した方がいいだろう。
神童もそう思ったようで、異論なく頷く。
貴方「あ、ありがとう！ できるだけ足引っ張らないようにするから！」
浜野「気にすんなって！ 改めてよろしくな」
昨日魔人相手に渡り合えなかったことを気にしているらしく両手を合わせて頭を下げてきたAに、俺は笑いかける。
こうして、3人の協力関係が出来上がった。
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作者名：サリア | 作成日時：2020年2月6日 21時
