言い争い ページ26
〜神童side〜
あれから、まだ進展はない。日々魔人を倒すだけ。
星宮Aにはあまり稲妻町に来てほしくないが、彼女との出会いが何かしらの手掛かりに繋がるならば、俺にとっても浜野にとっても得るものがあるだろう。
神童「ん？」
時刻は午後1時50分。約束の時間まで10分ある。
駅は目前というところで、Aが浜野ではない誰かと一緒にいるのが見えた。
なんだか雰囲気が最悪だ。
しかも、Aに突っかかっている……ように見えるのは。
神童「狩屋、それに剣城？」
そっと近づいて様子を窺う。3人は明らかに揉めていた。
狩屋「だからさー、ここは稲妻町のテリトリーなんだって。
他の魔法少年少女のテリトリーで勝手に魔人を狩るのは敵対行為になるって、キュゥべえに教わらなかったわけ？」
貴方「私、そんなつもりじゃ……ただ助けたかっただけ！
放っておけっていうの？ この町の魔法少年か魔法少女が駆けつけるまで見殺しにしろと？」
喧嘩腰の狩屋に対してAも負けじと言い返すため、険悪な状態だ。
剣城は黙って2人のやり取りを眺めている。止める気はないらしい。どちらの言い分にも興味がないといったところか。
神童「お前たち、何をしている」
見兼ねた俺が割り込むと、狩屋は驚いた顔で振り向いた。
剣城「こんにちは、神童先輩」
剣城が挨拶をしてくる。こいつはシードでなくなってからずいぶんと丸くなったな。前は絶対挨拶なんてしなかったぞ。
神童「A。何があったか知らないが、稲妻町に来て早々他の魔法少年と揉め事を起こすな」
狩屋「神童先輩、この女と知り合いなんですか？」
狩屋が俺に尋ねてくる。
神童「昨日知り合ったばかりだが、今日会う約束をしていたんだ。少し話がしたくてな」
狩屋「じゃあ神童先輩からも言ってやってくださいよ。
こいつ、隣の舟ヶ丘市から来た魔法少女のくせに、稲妻町で魔人狩りしてたんですよ？」
貴方「結界に呑み込まれた女の子を助けようとしただけだって、そう何度も言ってるじゃない！」
神童「2人とも落ち着け。結局、魔人を倒してグリーフシードを手に入れたのは誰なんだ？」
狩屋「3人で戦って、トドメを刺したのは剣城くんです」
神童「なら、そのグリーフシードはお前と剣城で使えばいい。Aは外の魔法少女だから受け取らない。
Aもそれでいいな？」
俺が妥協案を出すと、Aは狩屋を睨みつけたまま、黙って頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サリア | 作成日時：2020年2月6日 21時
